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部屋に着いてAをベッドに下ろそうとするも、ぎゅっと俺の服にしがみつき離さない彼女。
一旦彼女を降ろし、毛布でくるっと包み込むと後ろからあまり圧を書けないように抱きしめた。
「…怖くねェか？」
返事の代わりに前に回した手をきゅっと掴まれた。少し冷たい彼女の手をもう一度握り返した。
小さい手だ。
柔らかく、華奢な女の手。細い線を描いたようなしなやかな指は俺が力を込めれば折れてしまいそうだ。
手だけではなく、今のA自身はそういう状態だった。ひび割れたガラス細工のように少し力を込めれば粉々に壊れてしまうのではないかと思うほど弱々しく、危うかった。
しばらく手を握ったり頭を撫でたりしていると震えは徐々に落ち着き、完全に収まる頃には気を失うように眠っていた。
あの封筒はなんだ。
この尋常じゃない怯え具合からして事件に関連するものだろうとは思う。Aには見せない方が良さそうだ。でももし、Aの身に危険が迫っている手がかりが入っているなら中身は確認すべきか…
ひとまず割れた皿でも片付けてくるか、と立ち上がろうとした時繋がれた手がクイッと引っ張られた。
「A…？」
依然彼女に意識は無い。ただ苦しそうに顔を歪めながら俺の手を離さない。
他のことは明日でいいか。
彼女をもう一度抱き直し、手を握っていると俺も気がつけば眠りに落ちていた。
_ただいまぁ！ママ、はいこれ
_ッ葵…これ、どうしたの？
_さっきママのお友達のおじさんがこれ渡してってってくれたの。
……ママ？
_そ、そう。ありがとう。
どうしたの？
_さ、手洗ってきな、葵！手洗わないとおやつはおあずけよ。
_おやつだー！！手、洗ってくるー！
_きゃぁぁぁあああああああ"あ"あ"
_ママ！？
力なく床に膝を崩したママ。その近くにはさっきの赤い封筒と、それと同じ色をした…
『ッはぁっ……！』
「ふごっ」
『ッえ…？』
悪夢を払うように勢いよく首を逸らして目が覚めた。
と、同時に後頭部のなにかに違和感を覚えた。
「ぉ…おはよ」
『…あ、ごめん』
私の頭が思いっきり顔面にぶつかってしまったらしい。顔をゆがめて鼻を抑えてる。ごめん。
でもおかげで夢からすっぱり切り離してもらえた。
昨日の記憶は曖昧だけど彼はずっとそばにいてくれたんだ…
『ありがとう、エース』
「おう」
それからもしばらく安心するぬくもりの中に蹲っていた。
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…！今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月13日 9時) (
レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ！😆✨とても大好きで読ませてもらってます！文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様！前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します！ (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の｢あ。結構馬鹿だ、この人。｣が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月23日 12時
