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あぁ、あったまる…
湯船に浸かるだなんて何年ぶりだろう。
普段シャワーで済ませてしまう私はお風呂の偉大さを噛み締めていた。特に今日みたいに寒くて疲れた日に入るのは最高だなぁ…なんか贅沢してるみたいだ。体の芯からじんわり解かれているようだ。
毎日この幸せが待っていたらどれだけ嬉しいことかと思うと同時に頭をチラつくのはガス代、水道代…なんて世知辛い世の中だ。
でもそろそろ上がらなきゃなぁ。
名残惜しくも湯から上がると体を拭き、パジャマに着替え、タオルで髪を纏めて居間に戻った。
『あ、起きてる』
「あぁ、俺寝ちまってた…ぁあ!?」
私の姿を見るやいなや飛び退くエースさん。
なんだ?メイク落としたら別人みたいに老けたとか言ったらぶっ飛ばすぞ小僧。
すっぴんを晒すのに抵抗がないわけでなはいがこんな状況では致し方ない。まぁ減るもんでもないし。
髪にオイルを塗って、ドライヤーで乾かしたらエースさんはまた目を丸くしていた。
「お前、髪下ろすと雰囲気変わるんだな」
『へ?そうですか?』
そういえば仕事の時はいつも結んでるからエースさんの前ではいつも結んでたっけ。てか会うの二回目だけど。
『こっちの方がいいですか?』
「えっ?い、いや…どっちでも…」
『ですよね』
もう11時半を過ぎている。こんな時間にご飯とか夜食じゃん。いつもの私ならもう諦めて寝ているところだが、今日はそういう訳にもいかない。
買ってきた惣菜のコロッケをトースターで温め直し、ポットでお湯を沸かす。昨日の残り物のサラダを冷蔵庫から取り出してご飯は冷凍していたのを取りだしてレンジでチン。
『エースさんはカップラーメンで我慢してくださいね。買ってきてないんで』
「ラーメン!!かっぷ…?」
子犬か貴様。目がキラッキラに輝いている。なんて純粋なんだ、可愛いとか思ってないぞ…!
湯が沸くと私のインスタント味噌汁とカップラーメンに注いで、食卓に並べる。
「で、でもいいのかよ…お前金ないって言ってたじゃねェか。それも本当はお前が食べるやつだったんじゃ」
『ごちゃごちゃ言ってないで席ついてください。
お腹すいてるんじゃないんですか、とりあえず食べてください』
「ッA…!」
彼はヨダレを垂らす勢いで席に座るといただきます!と気持ちのいい挨拶をしてくれた。
『あ、それあと3分くらいしないと食べられないです』
「まだ食えねェのかよ!」
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…!今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年3月13日 9時) (レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ!😆✨とても大好きで読ませてもらってます!文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様!前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです!今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します! (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の「あ。結構馬鹿だ、この人。」が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2023年2月23日 12時