-80- ページ37
翌日
ネプチューン王に挨拶に伺い、今月分のあまりのお菓子を大量に貰い、私はこの島からの出航の準備をしていた。
「お主は新世界に帰るのか？」
『うん。もう1人、会いたい人がいるからその人に会ってみんなのところに帰るよ』
「言わずとも分かっていようが、危険な海じゃ。気をつけるんじゃぞ」
『もちろん』
港に着くと蛇子も何やら幸せそうな顔をしている。美味しいものを食べさせてもらったらしい。
申し訳ないなぁ、ありがたい。
『ねぇ、ジンベエ』
「何じゃ、アイリンさん」
『…私にもしものことがあったらルフィのこと、お願い』
ジンベエは目を見張って驚いたという表情をする。
が、すぐに厳しい顔に戻り口を開く。
「縁起でもないこと言わんでくれ、アイリンさん。勿論、ルフィくんの助けにはなるつもりじゃ。じゃが、もしもの事なんて」
『もう、分かんないから。
誰がいつ死ぬかなんて、分かんないから。
絶対死ぬなんて思わなかったエースや親父でさえ、死ぬのは一瞬で呆気ない。
何が起きるか分からない。新世界の海じゃ尚更。そりゃ、ルフィやジンベエにも言えることだけど。
でも、あの子を任せられるのはジンベエしかいないから』
「……お前さんの気持ちはよく分かった。安心せい、わしは認めた男にしかついて行かんがルフィくんにはあの戦争で惚れた。アイリンさんに言われずとも彼のことはわしが守ろう」
『ふふ、私の弟たちはいい男でしょう？』
「あぁ、全くじゃ。
じゃがアイリンさん。わしはずっとお前さんの、いやお前さんたちの味方じゃ。
お前さんが困った時もわしはいつでも力を貸す。どうか忘れんでくれ」
『ありがとう、ジンベエ』
ジンベエからまた物資や食料を貰い、積み込むと船を出した。
彼の大きな姿が見えなくなるまで手を振り続け、綺麗なシャボンに包まれた島を抜けて深海にもう一度戻っていく。
新世界に帰るために。
○
ジンベエは遠く小さくなっていく女の姿とかつて炎を纏い己と戦った男を重ねていた。
-ジンベエ、俺がこのまま死んだらよ…悪いけど、弟のこと気にかけてやってくれよ
-私にもしものことがあったらルフィのこと、お願い
「似たもの同士じゃな、お前さんたちは」
どうか無事で。
そんな気持ちを込めて彼女の小さな船が見えなくなるまで手を振り続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 230人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - ココナッツさん» とりかごも読んでいただいたんですね！嬉しい限りです！今後とも感動できるお話を届けていきたいと思っておりますのでこちらの続編も楽しみにしていただけると幸いです。応援のコメント本当に励みになります！ありがとうございます！！ (2023年2月7日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵さん» お返事ありがとうございますっ 止まらない涙で文字を読むのに時間がかかりましたが…何度でも読み返せます。 今日鳥籠の方も拝読しましたっどちらも良いですね…私の涙腺が大変なことになってます笑笑 更新大変かとは思いますが、楽しみにお待ちしております！ (2023年2月2日 23時) (レス) @page33 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツ様コメントありがとうございます。大分長い作品なのに一気読みしていただいてありがとうございます！私も泣きながら書いていたので泣いていただけて嬉しいです！今後の展開も楽しみにしていただけたらなと思います！ (2023年2月2日 20時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ワンピース大好きで、作者さんの作品を見つけた瞬間3日間ほどで一気読みしてしまいました笑 後半は泣きながら読みました…辛いけど私も夢主さんが生きててくれて嬉しいです…！ これからの行く末がとても気になります。更新大変だとは思いますが、応援してます！ (2023年1月31日 13時) (レス) @page26 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2023年1月24日 15時
