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たくさんの花に囲まれている墓標。
ふたりとも花なんかとても似合わないね。
次はお酒でも持ってこようと思いながら枯れた花を抜き、空いた所に花束を差し込んだ。
『来るの、遅くなってごめんね。
3ヶ月も寝てたんだって、私。みんなのこと泣かせちゃった』
墓になっても親父は大きい。
親父の存在の大きさと、この世界にそれが無くなったことの喪失感を表すようだ。
『私、もう少しだけ生きてみるよ。
親父もエースもいない世界に生きる意味なんて感じないけど。
でも悪いことばかりじゃなくてね、エース。
サボにまた会えたよ。
昔よりずっと大きくなって…身長エースより高いんじゃない？
それにエースより大人っぽいよ。
そんなこと言ったら怒られちゃうか』
この世界はいつだって絶望なのだ。
深海の中をもがき苦しんで、それでも生きて、生きた先に希望という酸素があった。
でもそれは有限で使い果たせばすぐ息苦しい暗闇に戻る。
永遠に続くなんてただの勘違いだ。
私たちはこの暗がりの世界で小さな酸素をかきあつめて生きていくしかない。
『私は大丈夫だよ、みんないるから。みんな、生きてるから。
…いや、本当はちょっと寂しいけど。
でも、大丈夫。心配しないでね』
温かい風が吹いた。
エースの体温にしては低く、親父の体温にしては温かかったが最後の一粒の涙を吹き飛ばすには十分だった。
「やっぱり…強いな、アイリンは。
俺はエースが死んだって、アイリンが消息不明って聞いて3日倒れた。その後も、今もずっと引き摺っちまって仲間に迷惑もかけた。
それでもまだ俺は気持ちの整理がつかねェよ…」
『じゃあ、私と一緒だ』
少しだけ下がった彼の頭に手を伸ばすと昔と変わらない柔らかい髪が手に馴染んだ。
『私なんて、一生整理なんかつかないかも。
でも今日、目を覚ましてから初めて生きてみるもんだなって思えたの。
サボのおかげだよ。
生きててくれてありがとうってサボ言ったけど、そのまま返すよ。
生きててくれて、ここに来てくれてありがとう』
もし思い出さなければ彼はまた別の幸せな人生を歩めたのかもしれない。
こんなに辛く、受け入れ難い現実なら知らない方が良かったのかもしれない。
でも、忘れられないよね。忘れてなんて居られない。
サボだって辛いのに、ちゃんとここに来てくれたんだ。
ちゃんと強いよ、サボは。
嗚咽を漏らすサボの髪を私は落ち着くまでゆっくりといていた。
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葵(プロフ) - ココナッツさん» とりかごも読んでいただいたんですね！嬉しい限りです！今後とも感動できるお話を届けていきたいと思っておりますのでこちらの続編も楽しみにしていただけると幸いです。応援のコメント本当に励みになります！ありがとうございます！！ (2023年2月7日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵さん» お返事ありがとうございますっ 止まらない涙で文字を読むのに時間がかかりましたが…何度でも読み返せます。 今日鳥籠の方も拝読しましたっどちらも良いですね…私の涙腺が大変なことになってます笑笑 更新大変かとは思いますが、楽しみにお待ちしております！ (2023年2月2日 23時) (レス) @page33 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツ様コメントありがとうございます。大分長い作品なのに一気読みしていただいてありがとうございます！私も泣きながら書いていたので泣いていただけて嬉しいです！今後の展開も楽しみにしていただけたらなと思います！ (2023年2月2日 20時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ワンピース大好きで、作者さんの作品を見つけた瞬間3日間ほどで一気読みしてしまいました笑 後半は泣きながら読みました…辛いけど私も夢主さんが生きててくれて嬉しいです…！ これからの行く末がとても気になります。更新大変だとは思いますが、応援してます！ (2023年1月31日 13時) (レス) @page26 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月24日 15時
