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約束の時間をすぎても2人は部屋に来ない。


先程から急に荒れ始めた海を窓から眺める。



「大丈夫、約束を破る男じゃないわ。大方、仕事が延びてるか、誰かに捕まってしまってるだけよ、もう少し待ちましょ」



『……うん』









「嵐が来るぞー!!」




晴れていた天気が急に荒れ始めたのは約束の時間の30分前だった。



「帆をたため!!煽られるぞ!」


「急げ急げ!もう雲がそこまできてる!」




その頃にはだいぶ風が強くなっていて思うように作業が進まなかった。

参ったな、これじゃ約束の時間に間に合わない。


かといってこの船をほうっておける訳もない。




「何もたついてんだよい!さっさと片付けて茶会に行かねェとアイリン待たせちまうよい!」



「あぁ、そうだな…ッ!!」




なんとか強い風に吹き飛ばされそうになりながら作業を終えた頃には時計の長い針は大きく真上を過ぎ去っていた。


しかも大雨で全身ずぶ濡れ。さすがにこのままの格好で行く訳にも




「急ぐよい!!」



「はぁッ!このままいくのか!?」



「アイリンが待ってんだ。とりあえず行く。話はそれからだよい!」



半ば引き摺られるようにナース室まで走り込むと息つく間もなくマルコがドアをノックした。



すぐにガチャ、とドアが開き中から出てきた少女はおれたちを捉えるとぎょっとした顔で元から大きな目をさらに見開いた。

マルコが口を開くよりも先にお嬢はダッと部屋の中に戻りガチャリとゆっくりドアがしまった。




「「え?」」








コンコン



あれから一時間後



さっきは全身びっしゃびしゃで何事かと驚きタオルを押し付けてお風呂に入ってきてくださいと追い帰してしまった。


イゾウさんとのファーストコンタクトだったのに、気を悪くされてないといいんだけど。



ドアを開くといつも通りに戻った2人の姿。

どうぞ、と中に通し前と同じように紅茶を作り始めた。

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作者名: | 作成日時:2023年1月12日 8時

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