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親父の部屋に行けば数人の隊長とナース長が揃っていた。
「娘はどうだ」
「身体は回復してきてる、けど心がなァ。ありゃ一朝一夕で治るようなもんじゃないよい」
娘の処遇を決めるために呼ばれたのだろうがここまで隊長を集める必要があったのか。考えていたことが伝わったのかイゾウが見てみろ、とばかりに紙切れを俺に押付けてくる。
それは手配書だった。
8000万ベリー。大きくあの傷の目立つ綺麗な顔が似顔絵がでかでかと掲載されている。
あの娘の手配書だった。
「あの顔のキズ、どっかで見たことあると思ったんだ。あの島の連中は新聞も取ってなくて知らなかったんだろうが、
あのお嬢さんは天竜人から逃げた大罪人、元々天竜人のドレイだったんだ」
察しは着いていた。
体を見た時、あの紋章も見えてしまったから。
あのマリージョアからよくもまぁ逃げられたもんだ。せっかく命からがら逃げだしたってのに捕まってドレイ生活。そっから解放されてもまだ世界から狙われる身だなんて酷い話だ。
「…で、まさか引き渡すなんて言わねェよな」
「そこまで俺たちだって鬼畜じゃねェが、保護団体でもねェだろ」
「それに、男所帯の船がそもそもあの娘さんにとっていい環境であるかも問題だ。ナース長ですらまともに話せてないそうだ」
「後もうひとつ、能力の話だ。ありゃポルポルの実って悪魔の実の力らしい。この数日で小さな揺れや物体飛行は度々起こってたしまたあの規模の暴走が起きないとも限らねェ」
確かに、船に乗せるメリットはねェ。
親父も女はあまり乗せたがらない。それも知ってる。
だからって放っておけるわけがねェだろい。
「親父。
頼む、あの娘が人並みの生活ができるようになるまででいい、それまで船に置いてやれねェか。
俺は医者だ。
身も心も回復してねェ患者は見過ごせねェ」
「親父さん、私からもお願いするわ。
あの子の傷…本当に目も当てられないほどなのよ。心の傷に至っては計り知れない。今度は世界のお尋ね者？あんまりだわ…！
何ヶ月も、場合によっては年単位の時間が必要かもしれない。
でも私にはあの子を見捨てられないわッ！！どうかお願い！親父さん！！」
「賞金首だの能力者だの、うちにはもう腐るほどいるんだ。今さら一人増えたところで変わりゃしねェだろうよい。
頼む。親父」
助けたとしても、感謝されないかもしれない。
それでも俺はここであいつ捨てたら白ひげ海賊団の名折れだと思った。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
