# ページ8
「待つんだフレかずくん！」
いや、だれだ。 お決まりパターンかよ。 作者め。
そこにいたのはシュウマイ先輩。 一瞬にして戻ってきたが、触れちゃだめな気がするから遠い目で見よう。
「何！？ しょうがない、部活紹介でもしてあげるよ！」
いや、何も言ってねぇのにいきなりなんだよ。 ふざけてんのか。 まぁそのぐるぐる瓶底眼鏡を見ればふざけているとしか思えねぇがな。
オレは心もなかで嘲笑って静かにアナタシア先輩が来るまで聞くことにした。
＊
部室の後ろにあった布をバッと外した瞬間になんだか幼少期嗅いだことかあるニオいが鼻をくすぐる。
「コレはアナタシアちゃんのお気に入り選手の『トマ・トー選手』の油粘土制作だよ！』
そうか、油粘土か。 幼稚園の頃オレもよく変な形を作っていた、油粘土。 すげぇ臭えから母が嫌がっていたことはよく覚えている。
しかもトー選手だとは、オレもトー選手は大好きだ。 なんだかものすごく嬉しい。
でもなぜよりによって油粘土なんだ……？ ヒビも入っていて触れるだけで崩れそうだ。
「シューマイ先輩。 コレ壊れないんっすか？」
「いや、壊れたよ何度も。三回くらい。」
やっぱり壊れてたのか、こんなにいい作品なんだから壊れるのはもったいなすぎる。
「私なんか、気になって三回くらい指もいじゃってそのうち五回は殺されかけたよ。」
いや、三回のうち全部オメェかよ。 一回壊れた時点で辞めとけよ。 しかも五回殺されかけたって増えてやがる。
それでもニヤニヤと笑いやがって同級生の男子だったらぶん殴っていたところだ。
いや、落ち着けオレ。 落ち着くんだ。
『落ち着け心へLove Love Form yоu.』
「……先ぱぁい！？」
窓をガラッと開けて入ってきたのはアナタシア先輩。 カマを片手に持ち、オレの心でも読んだような発言。
オレは嬉しくて先輩の方を見て叫ぶ。
しかし、なぜ窓から来たのだ。 確かにベランダがあるからおかしくはないが……
「何してたんすか？」
オレはなれない引きつった笑顔を見せた。 アナタシア先輩の前では笑顔でいなければとおもったんだ。
「ひよこちゃんの選別」
「うーそーだー」
「五月蝿い、ムダ毛。」
「ムダ毛とはなんぞや！ 怒るよ！ 地味に！」
そこからシュウマイ先輩が入ってきやがった。 やはり腹が立つ野郎だ。 こんなに腹が立つ先輩は生まれて初めてだぜ。それでも美人のくせに……
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