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6.知らない ページ6

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大倉くん




どこ



もう帰っちゃったのかな、
足が重い、息が上がって、苦しい。









「大倉くん…っ」









振り返って見た駅のベンチに、彼はいた。









大『Aさん、』









びっくりした顔で私を見て、顔を逸らしたこの人。
わたしはこの場に不似合いだって分かってるけど









でも、やっぱり、









「一花ちゃん…泣いてる から。戻って ほしい、」



大『…無理。』









私は大倉くんと話したことは、ほぼ無い。
何を考えてるのかわからない

でも、あんまりにも切ない顔をするから









「私の事嫌なのはじゅうぶん、、分かってるつもり。でも」

「でも…2人とも辛そうだから、、。
私ここに来ることしか出来なかった。」









できるだけ嘘はないように
大倉くんに伝わりますように。









大『一花…今、、ひとり?』

「ううん、安田くんが」









大『…そっ、か』
大『来てくれてありがとう。』









じゃあ、戻ってくれるのかと思って顔を上げたけど









大『…俺らのことに巻き込んでごめんな。』
大『でも今一花んとこには、どうしても戻られへん』









大『俺結構、頑張ってんけど。…今まで頑張ってたんやけどっ』








「大倉くん…」









私には、大倉くんの言葉の意味を理解することは出来ない。だって大倉くんのことを何も知らないから。





一花ちゃんと何があったのか、わからないし
今まで大倉くんが何を我慢してきたのかも
2人のことの1ミリも知らない。




でも悟ることはできる。
あなたのその涙の100分の1を悟ることが出来る。
今の私にはその1で十分すぎた。









「わたし、大倉くんと一花ちゃんが好きだよ
ずっと2人の掛け合い見てても飽きないし、笑いあってるとことか本当癒しだし!

……でも同じくらい悔しい。
2人のことの1ミリも知らないから。」









大『え、……おれのことも好きなん…?』



「好きだよ!?」



大『っえ?笑』



「なんで…?」



大『いや…そっか。…うん、そっか笑』


「大倉くんのこと、すごく好きだよ。本当に。」


大『…俺もさ…Aちゃんって呼んでいい?』







一花ちゃんの所へ戻ろうとあれだけ訴えても、
首を横に振る大倉くんを、私はこれ以上責められない。



何があったのか聞きたい。でも私が踏み込んでいいラインはもうとっくに後ろにあって、これ以上進めない、情けない私は「もちろん」と答えた。

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作者名:∞くらゆい∞ | 作成日時:2021年8月29日 0時

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