大倉くんのヒロインにはなれない。 (ページ30)

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30.人生初のページ30

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拭いても拭いても、出てくる涙。私を追い詰める大倉くんの言葉の数々。思い出すとまた胸が痛くなる。

しばらくして落ち着いたから、トイレから出て教室に戻ると、自分の机に小さく綺麗に折られたノートの切れ端。

開けると〝放課後、体育館裏に来て〟と書かれていた。

咄嗟に、大倉くんだと思った。バッと大倉くんを見ると、なんとも言えない目線で。スタバ行くのに、体育館裏？と思ったけど特にそれ以上思うことなく、席に着いた。

HRが終わって、大倉くんを見てたんだけど、先生に呼び出されてるみたいで、鞄は教室に置いたまま、先生と一緒に出ていってしまった。

「(どうしよう…とりあえず先に体育館裏行っとこうかな)」

大倉くんと同じように、ノートの切れ端にメッセージを書いて、大倉くんの机に置いて。

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体育館裏に着くと、そこに居たのはクラスメートの武田くんだった。

《1年のときからずっと、可愛いって思ってました！！！付き合ってください！》

「えっ！？」

《いきなりで、ごめん。
今じゃなくていいから…考えておいて。》

耳まで真っ赤に染まった武田くんは、先に帰っちゃって。しばらくわたしも時間が止まってたけど、とりあえず教室に戻ろうと思って、回れ右したら

大『…、』

「っ！？」

大『遅いから迎えに来たんやけど。』

「っご、ごめん！お待たせ…しました…」

そっか、あの置き手紙で。ってことは大倉くん今の…

大『……行こ。』

ん。と手渡された私の鞄。持ち手のところがあったかい。ずっとこれを持ってくれてた大倉くんの手の温度。冷めて欲しくないな、なんて思ってしまう。

「…」
大『…』

大『あれどうすんの』
大『隠すのもあれやからゆうけど、聞いちゃった』

やっぱり…。

「わたし…誰かから好きって言われたの初めてで」

大『…。武田のこと好きなん？』

「もちろん好きだよ！クラスメートだし」

大『は？なにそれ俺は？』

「え、なんで大倉くんが出てくるの？」

大『いや、』

「今もまだドキドキしてる。告白されるのって、こんな気持ちになるんだね…！」

そう大倉くんを見上げて言うと、またなんとも言えないような顔をしてすぐ、拗ねたような顔と声で

大『じゃあ俺、武田にも負けてるやん』

と言った。