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26.それからのこと ページ26

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一「忠義〜」

大『うわっ…』

一「えへへ〜びっくりした?」

大『…今日休みかと思った。こうへんしLINE無視やし』

一「拗ねんなよ〜(笑)」

大『は?』

一「は?」









あれから…登校時間も下校時間も
安田くんは私たちと一緒には歩かなくなった。






最初は2人も気まずそうで、登下校の間、今みたいに会話なんかろくにしてなかったんだけど、安田くんに『そんな風にされる方が残酷やしつらい』と言われてから、昔みたいに話せるようになった。









安田くんはクラスメートと登下校しているらしい。
それ以外は3人一緒な時もあるし、そうでない時もあって。









やっぱり何も変わらずそのまま仲良し!って訳にはいかない。それはもう…仕方のないことだ。









でもそれは、安田くんと一花ちゃんと大倉くんの間でだけの話で。









わたしは、









一「なあ聞いてやA!忠義昨日のデート遅刻してきてんで!ありえへんくない?!」





「え〜(笑)うそ。ほんとに?」








わたしは、今まで通りを演じなければならない。









なんにも知らないふりをして。自分の気持ちを固く固く封印して。深海なんて、あまっちょろいと言えるくらい深いところへ…この気持ちを見えないとこへしまって。








大倉くんへの気持ちなんて、最初から何も無かった。
そう自分に言い聞かせると、叫びたくなる時がある。









だってまだ、大倉くんの髪を揺らす風さえ…
こんなにも羨ましい。









大倉くんの肩に触れて、大倉くんの横で笑っている一花ちゃんはもっと……羨ましいの。









一「!?Aっ、なんで泣いてんのっ?」


「えっ?あれ、おかしいな(笑)」


一「目にゴミでも入ったん?見してみ、」


「うん〜、見てみて一花ちゃん〜」









大『……』









大倉くん…
あなたがいない世界があるなら教えて。









どんなに生きづらくても、今よりはきっとマシで
きっと息がしやすい。









大『のいて。…俺が見る』









お願いだから…、やめて。









「っ、」

大『A、じっとして』

「…一花ちゃんが見て無いなら無いんだよ。ゴミ」

大『いーから』









私の頬に触れる指も、近づいた時に香る大倉くんの匂いも、本当に好きなのに。そう思ったのと同時に涙が落ちて、大倉くんの人差し指に儚く伝った。

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作者名:∞くらゆい∞ | 作成日時:2021年8月29日 0時

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