30.好意 ページ37
『あれ、梓さんだけ？』
木曜日。ポアロへの配達日。またいつも通り運びにポアロへ行くと梓さんのみ。お客さんは数少ない。
「Aさん！そうなんですよ…」
少し落ち込んでるように見える梓さんは安室さんがいなく店の盛り上がりが下がったせいだろう。それでも笑顔で私に対応してくれる梓さんはやはり店員の鏡だ。
『まだ安室さん休みなんですね。』
「そうなのよね…でも明日からは戻ってくるとか…」
マスターはそう言ってたんだけど…と徐々に声が萎んで行く梓さん。やはり結構なショックらしい。それも仕方ない。以前安室さんが居た時と比べお客の数は半分以下に減っている。
それでも以前と同じ常連客だけの、私の理想だった時の状態に戻っただけだが。
『そうなんですか…そんなに長いこと探偵の仕事って忙しいんですね。』
「そうらしいわね」
はぁ、と溜め息をつく梓さん。こんな落ち込んでる彼女は珍しい。なんとか気分を持ち直して欲しいんだけれども。
『あー、あの、梓さん！』
「なに？」
『今晩空いてますか！』
「えっ、空いて…ないかな。」
『あっ、そうですか…』
空いていればご飯にでも誘おうと思ったんだけど、突然誘っても迷惑だったな。
それでも梓さんと一度ご飯食べに行きたかったから結構堪える。
「…もしかして、元気付けようとしてくれた？」
『あー、いや。その。はは。』
「ありがとね！」
にこりと笑う梓さん。気を遣わせてしまった。逆の立場になってしまった。
「じゃあ、また今度行きましょうね！」
『は、はい！！』
「Aさんとご飯食べに行くことなんて無かったもんね」
『いつもここに食べに来ちゃいますからねー』
「そうね。安室さんが来る前とかよく来てたもんね！」
『はは…』
安室さんに会いたくなくて来なかった訳じゃない、とも言い切れない。
どうしても彼が来たことでポアロが変化してしまうのが嫌だった。
私の好きなポアロが変化してしまったことを擦りつけて彼のせいにしていた。
このちょっとした自分のプライドは時間と共に小さくなって来て。
「安室さんのこと嫌いだったもんね。」
『それはまあ、だって私の好きなポアロも梓さんも変わっちゃって、なんか悔しかったんですもん。』
「嫉妬してたの？」
『嫉妬って…率直すぎですけど、まあ、その通りで。でも最近は若いお客さんたちでいっぱいのポアロも、忙しそうな梓さんも、好きになったんです。』
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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (
レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» ：−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京風ラーメン | 作成日時：2020年1月11日 2時
