27.5.黒色 ページ33
探し出した結果それらしき工場は1つだけ。
北にある廃工場。それもまた大きさの割に地味で目立たないものだ。
周りは使われていないコンテナ群。その中の大きなコンクリートの建物、工場だ。現在稼働している様子がないが、人の通りがあったようで草が生えていないことから分かる。
怪しい。
見た瞬間感じる怪しい雰囲気。
よく観察した結果、やはり怪しいという結論になる。
当たりだ。だからといって中に入らずに確証を得ることは出来ない。
「…虎穴に入らずんば虎子を得ず、か。」
何かしら組織と関わりのある場所かもしれないことを念頭に置き、中の様子を影から窺う。
「何をしているのかしら?バーボン。」
「おや…ベルモット。貴女こそ、何故ここに?」
「質問に質問で返さないでくれる?何をしているのかしら?」
はは、手厳しい。
表面上は微笑みを絶やさない。
背中に冷たい汗が流れる。
ここがその工場であることの証明にはなるが、なんせこの場面でベルモットに見つかるのは非常にまずい。
彼女のことをうまく誤魔化しつつ、この場をやりきること。今は物的証拠が手に入らなくても構わない。
「ベルモット、僕だけ仲間外れでこんなことをしているなんてね…」
「あら。仲間だったの?」
「ええ、君と同じ、アルコールの名前を持つ仲間でしょう。」
「……それで?何をしているのかしら?3度目はないわよ。」
「仲間外れにされていると知りましてね。忘れましたか?僕が探り屋だということを。」
「…本当かしら?」
「それで、ここでは具体的に何を?」
「探り屋ならそれくらい分かるでしょう。どこから知ったのか気になるところだけれど。」
「貴女がこのことを秘密にしていたのですから、こちらも簡単には教えられませんね。」
「…そう。会いたくないってわけね。…ところでバーボン。新しい仕事の話聞いたかしら?」
「いえ、聞いてませんね…ジンからですか?」
「最近、この組織のことを探っている人がいるらしくってね。それも疑わしきは罰せよ、とはいかない相手なのよ。運が悪ければ毛利小五郎にも疑われるわ。」
「ホォー、毛利小五郎ですか。」
「最近あの毛利と仲良くやってるらしいじゃない?毛利小五郎とも関係が深いようだし、その人物が何者なのか探って欲しいの。」
「その人物の名前や写真はあるのですか?」
「ええ。封筒に入ってるわ。」
「なるほど。分かりました。」
648人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時