8.救済の狛犬 ページ8
*
「…どうしたナツメ。そんなに大慌てで。」
暗闇に浮かぶ真っ白なシルエットに、黄色い蛙を上に乗っけた妖怪は、私を目掛け襲い掛かって…
来る訳もなく。
妙な高さに浮遊をして、妙にゆったりとした呑気なその聞き覚えのある声に少し安心感を覚えた
「コマさん…?」
私は酒呑君の猫を取り上げ、目の前にいるコマさんと上に乗っているコマじろうへと突き出した
「どうやって治せば良いのか分からなくて…!」
「ほう、猫か…。」
相変わらずの無機質で何も読み取れない様なのっぺりとした表情のまま、コマさんはその猫を覗き込んだ
一方のコマじろうは、ミッチーには絶対に見せない様な哀れみの眼を向けている、
感情が豊かな彼はとても心中が分かりやすく、心の底からこの猫の状態を心配している様子だ
「兄つぁん。何とかならないゲーロ?」
「ふーむ…ちょっとその猫をそこに置いてみなされ。」
ゆっくりとしゃがんで、冷たい地面にその猫の体を乗せる様に置いた。
体に乗せられていた猫の腕がだらん。と地面に倒れ、呼吸の頻度と激しさがだんだんとゆっくりに成ってくる
顔が青ざめていて、この時に初めて爪が欠けている事に気付いた
コマさんは猫の体の上に手をかざす
ぽっ。と言う小さな爆発音と共に小さな緑色の閃光が上がる
猫の体の怪我が埋められて、隠されていく。
相変わらずのっぺりとした危機感の無い顔のコマさんは、その細長い眼でじっと猫を見詰めている
渦巻き型の煙が立ち上がり傷の隙間に入り込むと、猫の怪我は嘘の様に消え失せ、毛に付いた血だけが残った
「あんれ、ナツメ。その手どうしたゲーロ?」
「…手?」
…生臭い血。
血が、私の手に固まりとなってベットリと着いていた
「ひぃいいいいいいっ!!!」
言葉にも声にも鳴らない叫びを上げたのは、十四年間生きてきた今日が初めてだった
_______
「…姫。」
ハルヤは何かを指差し、その情景の内容を言い掛けたが、ナツメの状況を見て話すのを辞めた
彼の指差した先にあったのは、まるで大量虐殺が起こった後の様な惨状
…猫の死体がそこにはごろごろと転がっていたのである
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名無しのダレカ - 紅白巫女w (2020年4月22日 19時) (レス) id: 6bf8819783 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 寝高麗☆トラジローさん» コメントありがとうございます、ご指摘いただいた件ですが、改めて調べてみたところ、さくら元町の所在は東京との事でした。人の間違いを指摘できる立場でもないのに…申し訳ございません。また何か小説内での誤字や誤植がございましたらご指摘頂けると幸いです。 (2019年5月26日 19時) (レス) id: d51802be4f (このIDを非表示/違反報告)
寝高麗☆トラジロー - あれ?妖怪ウォッチの舞台って《東京》じゃなくて《九州》じゃなかったでしたっけ? (2019年5月26日 18時) (携帯から) (レス) id: e5ef8f5494 (このIDを非表示/違反報告)
#チョコラーメン - 雪葉さん» コメントと閲覧ありがとうございます、そして返信が遅れてしまい誠に申し訳ございません…。雪葉様から頂いた「!」マークを気力にして頑張って行きたいと思っていますので、今後ともこの小説を宜しくお願い致します (2019年3月10日 16時) (レス) id: 5d2ed15dfa (このIDを非表示/違反報告)
雪葉 - 更新楽しみにしています!頑張ってください! (2019年3月3日 17時) (レス) id: 3c70fe5d70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:#チョコラーメン | 作成日時:2019年3月2日 22時