ん。２【音駒】

ん゛ ページ26

Aside

中学の時。
　
私は宮城に住んでいて、北川第一とは違う中学校に行っていた。

学区が……ちょっと分かれる感じの場所だったから。

それでも英とか、よく一緒に連れて来てくれるお友達の勇と飛とも仲が良かった。

まぁ、私はその時も背が小さかったから傍から見たら小さい子と遊んであげている中高生にしか見えないと思うけど。



「A、いつものやるか？」


『ん！』



勇が私を抱えてくるくると回る。

凄く楽しかった……。

引越しする時、英は目に涙がいっぱいあったな。



「A、絶対たまには戻ってきてね」


『ん……』


「金田一も……影山も待っているから」


『ん』
　


あの時の英の顔を撮っておけばよかったな。ぐしゃぐしゃだった。

特にいじめられてもいなかったけど、喋らないせいでずっと一人だった。

高校に行ってもそんなもんだろうと思ってたら案外違うもんで。



「へー、マネージャー志望？」


『ん』


「こいつ、凄い無口で変なやつなんだよ」


『ん゛』


「いってえ！？」



初対面の時最悪だったクロには、最初ひどくあたってた。クロもだけど。

そのせいか、妙なことになったんだ。



　



　
　









　




「私の言葉が伝えられない」ってことに。

おそらく私自身か、クロ自身が心を開いていないせいでもあるのかも。

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