ん。２【音駒】

ん〜！！ ページ20

黒尾side



ついに合宿の日になった。

え、Aは絶対に起きないんじゃないかって？

大丈夫だ、時間通り……いや、時間通りより30分前の時間で集合と伝えた。

それ以降来なければ部長の俺が起こしに行くというわけだ。

これで遅れない！完璧だ！！

さすがにおばさんが起こしてくれているか？

ピンポンを鳴らせば、Aにそっくりな母親が出迎えてくれた。

あ、でもかなり朝早めに来たから寝ぐせがある。



「え？A……？たしかにしおりもらってその時刻に起こしたんだけど、なかなか起きなくて」


「えぇ！？おばさん諦めないでくださいよ……」



ちょっとめんどくさがりなところは本当にAにそっくりだな。

2階に向かい部屋をノックする。



「A〜？おい、入るぞ！」


『……ん』



部屋の奥で小さく声が聞こえた。

扉を開けると着替え途中のAがいた。

思わずそこで思考が止まってしまう。

寝ぼけ眼だったAの目が一気に覚醒して近くに会ったクッションを投げてきた。



『ん〜！！』


「わわわ、ごめんって！」



急いで扉を閉じたけど、投げてきたものは廊下に出ていた。

クッション、筆箱、水稲……っておい！








　







Aside

「今日から合宿か〜」


「翔陽たちにまた会えますね！」


「……うん」



合宿準備は、私達東京にいる人たちが烏野が来るまでやることになった。

去年一緒だった雪(白福雪絵)とかおり(雀田かおり)とかもいる。烏野には潔もいるけど、新しい子が一人入ったらしい。

多分周りにヘルプもいるしいざとなったら助けてもらおう。



「おーい、迎えに行くぞ」


『ん』



迎えに行くと、坊主くんが鉄塔を見て大興奮していた。



「おおっ！あれはもしや、スカイツリー！？」


「いや、あれは普通の鉄塔だね」


「ぶっひゃひゃひゃひゃ！！」



クロが変な声をあげながら笑ってる。

ぼうずくんとリベロくんと目が合うと、「ちわーっす！！」と頭を下げられたので、『ん』と言い手を振った。



「Aちゃん」


『ん！』



潔の元に走っていくと、後ろに女の子がいることに気付いた。



「仁花ちゃん、彼女は音駒高校の3年生の国見Aちゃんだよ」



ありがたいことに、潔が配慮して言ってくれた。

一年の仁花か。可愛いな。



『ん』


「えっあっ」



手を差し出すとおずおずと来て握手をした。

私と身長があまり変わらない……それでも仁花のほうが大きいのか。

ん？→←ん゛

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