反社会的ユメノクニ。| Ryosuke.Y (ページ43)

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Another Story of… ページ43

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ここからは「冬-8」の後に続く
もう一つのエンディングです

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一年後________

「ありがとうございました。また来週」

振り返りもせず挨拶代わりに煙草を投げ捨て
た女性客。ピンクのファーが襟を囲むコート
は、裾が広がる可愛らしいものだった。

テレビで見ない日はないこのアイドルの背中
が実は刺青だらけなんて誰が想像するだろう。

所詮、
世間の目なんてものはいくらでも欺くことが
できるのだ。

「………」

彼女の施術を終えた日の後は、
いつもそんなことを思った。

＊＊＊

自身の太ももに刻んだ十字架が彼の後を追う
ことを思いとどまらせ、わたしは新たな十字
架を背負う覚悟でこの裏の世界に戻った。

人材派遣会社の社長秘書として
表の生活を送ってきた数年間、

職業柄、深刻化する人材不足と嘆かれる就職
難に矛盾を感じてきたのはわたしが表社会で
感じたジレンマそのものだった。

一方で "潜りの女彫師"という職は
こうも有り難がられるものなのかと驚いた。
待ってましたと言わんばかりに次から次へと
金を落として行く客たち。

出戻りの“シゴト”はすぐに波に乗り、
彼を死に追いやった元凶、借金は皮肉にもす
ぐに完済することができた。

危ない橋を渡ってるくらいわかってる。
でも一度は捨てようとした人生だ。

もうーーーー怖いものなんてなかった。

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