反社会的ユメノクニ。| Ryosuke.Y (ページ3)

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「なにニヤついてんだよ。気色悪、」

学生でもなければフレッシュマンでもない。
自分のようなただのOL(・・・・・)にとって4月1日という日は、単なる年度の節目に過ぎない。

これといって特別感なし。

ならばせめて気分だけでも…と、
新調した桜色のジャケットに袖を通し、くるりと彼の前で回って見せたというのに

「……失礼しちゃうよね。
もうちょっと気の利いたコメント言えない？
"お、似合ってんじゃん"とかさ」

ツンと唇を尖らずわたしの足元を横目に見る彼。
ふっ、と小さく鼻を鳴らすと

「Aは………黒が似合う」

猫のホッパーの背をなでる彼はそう呟いた後、
そのまま口を噤んでしまった。

無理もない。
こんな清楚な格好をする女なんて彼には別次元の人間にしか映らないのだろうから。

＊＊＊

桜、ピンク、新生活、ポカポカ……
春を彷彿とさせるワードは何一つとして彼に紐づかない。

「ったく、別にいいですよーだ。さて今日から新年度！
初々しいイケメン後輩とのオフィスラブでも期待……しちゃおっかな」

挑発じみた言葉を発したわたしに、
彼は眉間に皺を寄せ大きく舌を弾いた。

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