特級術師は逃がしてくれない。【乙骨憂太】

覚悟 ページ35

乙「......僕は協力できないけど、


君がそうしたいなら、特に止めないよ。




.....逃がしてはあげられないかも。


とだけは言っておくね。」






そう言って頬をふにふにと触る。






知ってる。




こいつは私の我儘を何でも聞くくせに、

こんなふうに、限りなく自己中なところがある。






『わかった。



本当に、覚悟を決めて逃げてみる。



..... だから宜しく。乙骨くん。』





ここまで来たら、

自分に言い聞かせているわけじゃない。


本当に全力で逃げ切るしかない。






乙「それ、この状況で言うの？笑」





頬から手を離して、


ベッドの上で私を軽く抱きしめながら

乙骨は微笑む。




.....よかった。怒ってはいない。





乙骨は笑って許してくれている。








それと同時に






「逃げられるわけがないのに」



そう嘲笑われているような気もした。







どうせ命がけで逃げなきゃ状況は変わらない。




捕まって終わり、


なら、



中途半端なんてやめて、


本気でこの男を忘れよう。



そう決めた。












そろそろ布団から出ようと

体に回る乙骨の手を掴む。






........電話？







乙骨の手を掴んでいた手を伸ばして、携帯をとる。




乙「五条先生？」



『ううん。野薔薇ちゃん。』








釘「Aさん！！


今日任務入ってます！？もし何もなかったら
二人で渋谷にパフェ食べに行きたい.....っていうか
あ！！今泊まってるんでしたっけ！！！


ホテルとってるならそこまで行くんで
きのうの！！話聞かせて下さい！！！笑笑

先輩一人ですよね？今！」



声おっきくて元気 ......かわいいな。



巻き付いてる乙骨にも聞こえてしまって申し訳ない。




『おはよ野薔薇ちゃん。笑


任務入ってないよ。昨日たくさん祓ったし、
今日は大丈夫そうかもね。


ホテル...一人で泊まってるんだけどまだ
起きたばっかりで身支度なにもしてなくて....笑


ちょっと時間かかるかも』

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