特級術師は逃がしてくれない。【乙骨憂太】

朝 ページ33

＿＿＿ 八時半か。









......腕枕をされていて、


もう片方の手は腰に巻き付いている。






どうせ夜中に電話がかかってきて
また任務に駆り出されるだろうと思っていたから


こんなに普通の朝が来たことに、少し驚く。



昨日、結構祓ったからかな。





『あ"っっっっっつい』




長袖の上下を着た乙骨に巻きつかれて、暑い。


こいつは暑くないのか。






ていうか.......





やっぱりかっこいいな。




真希たち曰く、一年前はビビリのなよなよだった
とか言ってたけど。



私が乙骨に出会った...というか
捕獲されたのは今年だから、全く想像がつかない。




左で眠っている乙骨の黒い髪を撫でる。






なんで好きになってしまったんだろう

って言いたいところだけど、

今となってはその理由がたくさん出てきて、困る。






違う人を好きになれればいいのに。


そしたら、こんなに重い愛を注ぎ込んでくる

確信犯とも離れられる。






＿＿＿＿ 撫でる手を止めて考える。






高専にいい人がいるだろうか。


どうせ高専にいたら他のコミュニティには属さない
だろうから、東京校の人たちを思い浮かべる。



五条先生....はまず無理だ。



あと、深くは関わった事ないけど、ななみさん？
っていう人もいた気がする。



パンダくんと狗巻くん....は普通にいい人。いい友達。


他には虎杖くん....伏黒くん....





『あ、伏黒くん』





頭に高専のみんなを思い浮かべていると、

伏黒くんも黒髪だななんてふと思った。





＿＿＿＿ ていうか、

他の人を好きになろうと努力するって...。





現実逃避だな。もはや。













「伏黒くんがなに？」













枕がわりだった腕が抜けて、

乙骨の頭に乗せていた手を掴まれる。

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