【名探偵コナン】異世界の訪問者 番外編《男主》

IFストーリー《ティフィン編　男主死亡エンド》その後 1 ページ3

リクエストいただきました
IFストーリー《ティフィン編 男主死亡エンド》のその後
零さん視点


・



-Side降谷-




どうして。何故。
そればかりが頭を巡る。


最後に見たのはあいつの眩しすぎる笑顔で。
気づけば体は落下していた。



徐々に小さくなっていくあいつの名前を、喉が痛くなるほど叫び、手を伸ばす。



声も、手も――もう何も届かなかった。






そこからのことは、よく覚えていない。








気づいたら病院のベッドの上で、最初に見たのは風見の顔だった。


すぐにやってきたコナンくんの表情も暗いもので、それで全てを察する。





何も、救えなかった。
結局、あいつの…Aの不安も解消できないまま…独りで逝かせてしまった。





「くそ…っ!!」




誰もいなくなった病室で拳を握り締めてそれをベッドの脇に叩きつける。



風見からの報告で、あのホテルの部屋から遺体はひとつも発見されなかったという。




「何も…残してもくれないのか」



あれだけ一緒にいたのに、何も――…。

…いや、最期の言葉だけが、残されてしまった。



また僕は…大切な人を失った。

今度は、目の前で。





「ずるいな…、お前は」



勝手に現れて、勝手に僕の心の中に入り込んで――勝手にいなくなりやがって。






時間は進むだけ。
少ししたら、一件の処理と、ポアロの仕事、組織の仕事が待っている。


ティフィンの件も上手く説明しないと…。





…こうやって、また日常が戻っていくんだろう。
ヒロを…失ったときのように。



それが一番怖い。






だから今だけは…弱いところを出させてくれ。

そうしたら、あいつの願い通り、ちゃんと前を向いて進むから。



今だけは…涙を流すことを赦してくれ。

そうしたら、Aの志と共に――この国を守ることに、全てを捧げるから。





今だけは――……。





・

IFストーリー《ティフィン編　男主死亡エンド》その後 2→←IFストーリー《ティフィン編 男主死亡エンド》 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す