■有漏の死想 ページ1
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──嗚呼！ 吐きそうだ！
その本音は、口から出る事なく体の中でぐるぐると循環し始めた。
楠んだ青と白の頭髪、そこから覗ける黄金の瞳。人は彼含む集団を“悪”と呼んでいた。彼が立っていたのは、今宵その首討ち落とさねばと乗り込んだとある人間の家。いや、人間なんて呼ぶには贅沢すぎる。
人間？ 否、猿だ。
“彼”は刀の柄に左手を乗せて、突然現れた“彼ら”に怯える猿達を前に、小さく小さく深呼吸をした。そしてすっと顔を上げ、お得意の笑顔を見せ付けた。
「初めまして。『妖廻組』ボスの『往生ウロ』です。今日は猿の駆除に来ました！」
＊
思えば、ずっと“我慢”をしてきたのだろう。そう、自分の人生を振り返ってウロは思った。
今自分は愛する仲間達や大好きな猫や本に囲まれて、この上なく幸せな毎日を過ごしていた。しかしウロは自覚している。自分が常に、今にも爆発しそうな憤りを抱えている事を。
──例えば、だ。栄養として取り入れた食べ物は、消化されて栄養として体を循環するだろう。それと同じ様に、ウロの体では常に怒りが張り巡らされた血液を巡った。“我慢”している。呑み込んでいる。だから気付かぬ間に堪忍袋の尾が切れて、もう猿の前で怒りを抑制する事が出来なくなったのだ。
黒猫の顔を片手の親指で撫でながら、俯きがちにウロは言った。
「僕は…オレは、皆が平等な世界を創りたいんだ。一方通行な視線で見られず、誰もが自分自身で責任を持ち、仲良く暮らしている幸せな世界」
「正直言って、夢物語だって思うだろ？」ウロはそう続けた。
仲間達は何も言わず──半ば微笑みながら、ウロの話を聞いていた。ウロはゆっくりとソファーに座り、ゴロゴロと喉を鳴らす黒猫の喉を片手で撫でた。
「本当はそんな事ないんだ。人間は頭がいい。だから絶対に分かり合える。どんな人とでも、どんな妖とでも。オレは信じてるんだ、人間の可能性をね！ ただ──」
「猿には無理だ」
ガクン、とウロの声は下へと沈んだ。低い、本当の怒りを含んだ、愛を持たない冷徹な声。猫を撫でる反対側の手には、目から涙を流し、口と鼻から血を出した、逆さまになった男性の頭が乗っていた。男の頭を見るウロの目は見開かれ、死んだ男性を尚殺す様に視線を向ける。
気付けば、辺りは血の水溜まりでいっぱいだった。“挨拶”をしてから十分足らずで、ここにいた者を全員殺した。ウロの思想は、鮮やかな赤の上にあった。
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くろせ(プロフ) - しまえながさん» ありがとうございます！ 是非描かせて頂きます！ (2019年11月11日 21時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
しまえなが(プロフ) - こんにちは！派生作品おめでとうございます！よろしければ、ウロくんと梓のツーショットのイラストなどお願いしたく…！また、今日からまた浮上できますのでまだ結べていない方との関係も結ばせていただきますね。 (2019年11月10日 12時) (レス) id: fc59f5796d (このIDを非表示/違反報告)
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