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学園に暖かみのある橙が灯ると生徒達は朝を迎える。
ショコラは箒に跨がり、自分の寮に向かっていた。
昨日の夜の出来事は、あまりにも一瞬に感じて“夢なんじゃないかな…?”と疑って、自分の頬を引っ張りながら。
“正直、まだ眠い。”そんなことを考えながら、部屋の窓からルームメートのスノーを起こさないように静かな足取りで、そっと部屋に入る。
「…ショコラ、こんな時間までどこに行っていたのかしら…?」
静かに寝ていると思ったスノーはベットに寝てはいるが、目は開いていた。
「…!?…スノー。起こしちゃった?」
「いいえ、貴方がいないから気になったのよ。」
「ごめんね。」
「やっぱり心配だから、夜遊びも程々にしなさいね?」
「はーい。」
心配されるのは嬉しいが、少しだけ照れ臭い。
ショコラは少しだけ口角を上げながら返事をした。
「昨夜は、ショコラは一体何しに何処へ行っていたの?」
スノーが、少しの沈黙の後に紡いだ言葉。
心配し過ぎは良くないと分かっていたが、やはり心配になったスノーは最後にこれだけ聞いた。
ショコラは優しく嬉しそうに笑いながら、こう言った。
「…ふふ。中庭だよ。月を眺めてたの。バカ達は嫌いだし、私とは縁がありそうで嫌だってさ。」
最後の方は少しだけ苦笑いをしながらだった。
「なんのことかしら?」
頭の上に?を浮かべるスノーはしばらく考えてから、“もしかして…”と言った。
頭の良い彼女はすぐ分かったのだろう。
「……ナハトに会ったの?」
流石、スノーだ。
ここまでショコラを毛嫌いするのはナハトくらいだと解ったのだろう。
「貴方、表向きは神を信仰しているわよね?」
「えぇ。勿論。気持ち悪いくらい信仰してる奴らに目を付けられたくないからね。」
「…はぁ。」
スノーは、全てを理解したような瞳で、深い溜め息を吐きながらショコラを見つめた。
窓からはもう、朝日が射し込んでいた。
スノーと話している間に夜が明けてしまった。
ショコラは“急がないと…!”と、いつもの制服に着替え、髪を解かす。
「スノー、今日も授業!さ、行こう!」
笑顔で部屋を出た。
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