【聖F学】エリンジュームの花束を。【派生作品】 (ページ4)

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2,【月下の華と独りのラミア】ページ4

「今宵は良き散歩日和だ…！」

感嘆の声を漏らした少女、ショコラ。

アズーロカレッジのとある一室の窓から、空を見上げる。

美しく妖艶に学園に光を与える紅い月。

この月が紅く輝く現象は、この世界では極稀に起こる現象だ。

ショコラは、普段とは一味違う笑みを口元に浮かべている。

　
ショコラは、横にあるクローゼットから、制服のケープよりも断然、丈が長いローブを取り出し始めた。

いつものケープを外し、いつもは着ない、ベストを着る。

最後に、最初に取り出したローブをその上に羽織り白い髪が隠れる様にフードを被る。

夜は白い髪が見やすくなり、目立ってしまうので、それを隠すためにフードを被る。

ショコラは姿見で自身の服装を確認し、肩に箒(ほうき)を掛けて、アズーロカレッジのメンバーを起こさないように、窓を開けた。

優しい夜風がショコラの頬を撫でる。

早速、箒に空中浮遊の魔法の呪文を唱える。

ショコラは、箒にイスに座る様に乗り、窓から外に出た。

　
外は闇夜の静寂に包まれていた。

紅い月が儚い印象を与える夜。

ショコラは古い古代魔法の本の挿絵をふと思い出す。

「(確か、図書室にある古代魔法の本には、紅い月の夜は魔力量が上がって暴走する魔法使いもいるって書いてあったなぁ。)」

「………気を付けないと。」

一人静かに呟き、ショコラは宙を舞った。