7,【恋とデートはご内密に】 ページ26
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「……よう」
「あ、ナハトさん。…こ、こんにちは」
あれからすっかり元気になり、ナハトはいつものように日溜まりの廊下を歩いた。
出会ったのはショコラ。付き合い始めたばかりという事もあって、なんだかぎこちない。
ナハトはこほん、と小さく咳払いし、そっぽ向くと、
「………授業、一緒に行くぞ」
と、恥ずかしそうに呟いた。その熱を帯びた赤い瞳だけショコラに向けて。
ショコラは返事をすると、ナハトに駆け寄った。
手を繋ぎたい。もっと近くに寄りたい。そうは思うも、学園の中にいる限り恋愛は内に秘めておかなくてはいけない。
「………ナハト」
「えっ？」
「さんじゃなくて……ナハトでいい。敬語も、いらないから…」
少しだけ距離を詰めてナハトは囁くような小さな声で言った。
「…うん！ナハト！」とショコラが返すと、ナハトは満足げにニヤッと笑った。
暫くして話題を切り出す。
ナハトからの誘いだ。今夜、中庭で会わないかというものである。
勿論、ショコラはOKした。
時は流れて夜。
青白い月が道しるべだと言わんばかりに輝きを放つ。そこに一人、男がふらりと現れた。
赤い瞳を蝋燭の燈の様にゆらゆら揺らし、それは恋馳せる想いに満ちていた。
「ナハト…！」
「！ ショコラ」
やってきた大好きな人に、一瞬にして視線は絞られる。
ナハトはショコラを引き寄せ一度抱き締めると、「待ってた」と優しく囁いた。
二人は並んで座る。
「あ…、ショコラ」
「？」
「これ、食べる？」
ナハトは小さな小包を取り出し、ショコラに手渡した。
中はマカロンや小さなカップケーキ、クッキーでいっぱいだった。
紙袋独特の臭いと、スイーツ達の甘い香りがふわりと二人を包む。
「わぁ、ありがとう！」
「スノーから聞いたんだ。喜んでくれたか？」
「え？スノーから？」
スノーと言えば、ショコラの親友でありルームメイトの女性である。
裕福な家庭の生まれで成績優秀、魔法も申し分ない完璧少女だ。
「昔からの知り合いでさ。聞いてみたんだよ」
「そうだったんだ…あ、美味しい！」
「付いてるし」
そう言うと、ナハトは不意にショコラに顔を近付け、口元に付いた食べかすをなめとった。
ショコラが顔を赤くすると、ナハトはニヤ、と笑い、ペロリと舌を出した。
「なんだ？口移しでもするか？」
「恥ずかしいよ…！」
からかう様に笑って、ナハトはショコラの額にキスをした。
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