No.117 ページ18
久しぶりに向かう、ラビッシュへの道。
その道中に、何度か聞いた事のある女性らしいが何処か太い声が響いた。
「誰だ!」
______御坂郁深の声だ。
確かラビッシュの本部に行っていたはず……それなら何故ここに居る?
確か政府が動き出したとかほざいてたから…多分それだな、と自分の中で納得した。
「うぅ……皆、どこ行っちゃったの?」
「え!?」
小さな少女の声だった。恐らく12歳くらい。
その子を見る。泥だらけになって居るその服には、見覚えがあった。
「……其処のお嬢ちゃん。ちょっと来てみろ」
隠れていたのも忘れ、つい姿を見せてしまった。
郁深たちは当然身構えるが、そのうちの二人は目を見開いた。
「……翼!?なんでお前、ここに居るんだ!ラビッシュは半壊状態に____」
「んな事知ってるよ。……右肩、見せてくれないか?」
「!…い、やだよ……だって、罰を下されちゃう……」
罰を下されちゃう。その言葉で確信した。
この子は、俺と同じ育ち____青少年集中医療教育院の子供だ。
「……お前、仲間が居なくなっちゃったんだな。
じゃあ、俺たちと一緒に居てくれ。いつかまた会えるさ」
「本、当…?」
「ああ。大丈夫、だから今は安心しておやすみ。疲れてるだろ?」
そう言うと、その子は小さく頷いて翼の腕の中でゆっくりと目を閉じた。
「……翼、さん……どうして、ここに……?」
「ラビッシュの方にはさ、こう言う緊急時用の治療用の道具は無いんだ。だから届けに来た訳」
「でも今は敵同士でしょう?貴方はこんな所にいて良いのですか?」
「俺はレブルだとかなんだとかの前に、まず医者だ。傷ついた人間を一人でも癒したくて、外に出て来た。それに……恐らく、もうすぐこの戦争も終わる」
目を細めて、彼は言う。
どこか遠くを見据えるように、呟く。
「どうしてそう思う?」
「今、ミルクと剣士が向かい合って対峙して居る。もう前みたいな戦いはしない。
それならどうして向き合って居る?この戦いを終わらせるためだ。どう収めるかは手腕に期待だな」
言い終わると、すぐに三人の方に顔を向けた。
「俺はミルクと剣士のとこに行く。アジトの方に居る奴も呼んできてからな。郁深も手伝え。
絢音と…ナントカ瑠璃歌だっけか。その二人はラビッシュの方の人を呼んで来てくれ」
「……わかった。行こう」
郁深が足を進めてきた。
同時に自分も足を進める。
「翼さん!また、貴方に会えますか?」
「……ああ。生きてたら会いに行くよ」
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした!あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…!本当にありがとうございました!! (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました!主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした!剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした! (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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