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No.94 ページ45

「させるかよ」


瞬間、麗華の前に黒い物体が飛んできた。
ダン!と音をたてながら着地したそれは、人間であった。
そして彼女…ロストアイズが恨んでやまないラビッシュの首領だった。


傷が痛むのか、急いだのか、息を切らしている。
前髪から覗く赤い瞳は、貫くようにロストアイズを真っ直ぐ見つめていた。


「傲慢、な…。」


少し考える様にして剣士は顎に手を当てる。


「随分余裕そうだな…!!」


「まさか」


目の前に現れた恨みの元凶とでもいえるその人物に苛立ちを覚えるロストアイズと、
冗談キツイぜ、と乾いた笑みを浮かべる剣士。


「麗華達も、無茶すんなよな。いきなりレブルのアジトに、なんて…」


「ごめんなさい」


「いや、いいよ。別に」


で?と剣士はロストアイズに向き直る。
挑発なのか、正直な気持ちなのか分からないほど曖昧な表情と声色で、剣士は話す。


「お前……誰?」


この前、確かに同じ人物を川の近くで見た。
嘘みたいだけど、信じられないけど、昔失ったはずの仲間にそっくりだった。
いや、単なるそっくりさんなら良いのだが。


「オレ、お前に初めてあった気しないんだよね。何者?」


刀には触れていない。


つまり、自分の予想があっていたなら、ロストアイズの正体が「彼女」なら。
戦う気は無いのだ。いや、あえて戦闘に臨む気なのか。
そして、その逆もまた然り。


もし、もしも「彼女」なら…。
その怒りも全部受け止めて、それでも勝とう。
それが、オレなりの覚悟だ。
そんな意味も込めて、強く拳を握る。


「答えろよ」


震える拳を固く握りしめ、ギリギリと鳴る程に歯を食いしばり、涙が出そうな目を強く開け。


その顔は、悲しそうでもあり――――、
悔しそうでもあった。

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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カレーライス x他2人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月14日 22時

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