No.71 ページ22
「全員部屋に待機! 必要な場合は武器を持て!」
今日の撮影を終えた瑠璃歌がいつもの服に着替え終えた頃、剣士から戦闘準備の知らせが届いた。
いつも通り慌て、外に出てしまった瑠璃歌は、その一瞬に映し出された情景を網膜に焼き付けた。
(あれは、レブルの──)
アジトの出入り口に背を向ける剣士。
その奥に見えるのは、白い髪が目を惹く美しい人型。
お互い懐かしむ様な、その隙間を縫う様に漂う殺意。極めて異質な空間が広がっていた。
瑠璃歌はすぐに部屋に戻ると、武器とはとても言えない拡声器を抱き締め、毛布に包まった。
(何だったんだろう、アレ)
Rebel Army、彼女が所属するrubbish heapの敵対組織だ。目的が同じであるにも関わらず、その本質は全く異なる、正に似た非なる存在。
瑠璃歌自身、お互い手を取り合えたら、きっとこの世界を変える事が出来ると思っている。しかし、現実はそう甘くなく、現在まで両者が歩み寄る事は無かった。お互い潰し合う宿命なのかと思ってしまえる程に。
だが──
(剣士さん、あの人を戦うつもりが無さそうだった。もしかしたら……)
目に焼き付いた光景を思い出しながら、時が過ぎるのをじっと待った。
体感30分。実際に経った時間は約10分。
部屋の外が騒がしくなり、瑠璃歌はむくむくと布団から出る。
(え、今度は何?)
確認をしようとドアノブに手を掛けた瞬間、扉が突如勝手に開き、瑠璃歌の顔面と衝突した。
「ぶほっ!!?」と女子らしからぬ声を上げながら後方に倒れると、扉から「え、瑠璃ちゃん!?」と声が聞こえ、一人の少女が慌てて瑠璃歌に駆け寄る。
正体を現した瑠璃歌の上司、御坂絢音は手を差し伸べた。
「ごめんなさい! まさか扉の前に居るとは思わなくて……」
「だ、だいじょうぶれす、しぇんぱい…………それより、何かあったんですか?」
赤くなった鼻を摩りながら、差し出された手を取って立ち上がる。そのついでにと、瑠璃歌は現在拠点の状況を聞く。
しかし、絢音は途端に顔を顰めて口籠るが、すぐに真剣な表情を作って口を開いた。
「剣士さんが倒れたの。今、治療を受けてるわ。伊織さんが言うには、傷口からレブルの首領の能力で出来た傷があるって……」
「え……」
「瑠璃ちゃん、暫くは外を出歩かないでね。危ないから」
信じられない。
まさか、首領である剣士が倒されるなんて思っても見なかった。
再度、瑠璃歌はあの情景を思い出す。
誰も入って来れない様な二人だけの空間。
対立する黒と白。
なら、あの人は──
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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