No.33 ページ34
夜は嫌いじゃない。太陽の代わりに大人達の作った鮮明な色彩の光達が彼方此方を照らして、星も月も無くたって眩しいくらい。少し手を翳すだけで、街灯や店から零れた光達が寄ってくる。
仲間じゃない人間は皆嫌いだけど、それから生み出されたこの忠僕であり友である光達は好きだ。人間共の元から引っ剥がして、皆私の手元に置いておきたいくらい。
だけど、今向かっている所にはそんな光すらない。水溜りを踏む私の足音に合わせて、真っ黒い海が波打つ音だけが響く。舞い散る白い泡が暗闇に映えて、昔と変わらず綺麗だった。ただそれも、ここが臓器やら身体やらが売られている場所だと思うと、何もかも飲み込んで溶かしてしまいそうな恐ろしいものに見える。命だったものを運ぶには、引き摺りこまれそうでちょっと気味が悪い。
隣を歩く光で出来た二人の従者も、一方は剣の形をした片手を構え、もう一方は文字通り目を光らせて周囲を見渡している。いつもと違う、明らかに警戒してる。この港、いつからこんな陰気な所になったんだろう。
この港の倉庫には昔友人と何度か来た事がある。その時はそんな悪念の温床だなんて知らなかったから、食べ物や金品をこっそり頂戴して笑い合ってた。今思えば、私もあの子も見つからなくて本当によかった。あの前髪が長い男の子、今も生きてるかな。
楽しかった昔を懐かしんでいると、ふと笑みが浮かんでしまう。いけないいけない、笑う為に来たんじゃない。
わざわざ皆寝てからここへ来たのは、あわよくば闇市を潰せたら、というのもあるが、偶然今日やっていたりなんて無いだろうし、単なる下見だ。
普段は自分から下見なんてする気にもならない私だが、斎槻から港の話を聞いた時は吃驚した。今でも瞼に浮かぶ、楽しい日々を過ごした場所。空っぽだった場所に勢いよく流し込まれる様に、思い出が次々と溢れてきた。サクラが口を挟んでくれたおかげで気が付かれなかったようだけど、衝撃で口が固まって暫く動かなかった。
あの時の事を思い出して、どうしてもここへ来てみたくなった。つまり下見とは言っても、本当は故郷を懐かしんで帰りたくなった様なものなのだ。
しかし、いつもめんどくさいと言って動かない私が急に下見に行くと言ったらまず間違いなく怪訝な顔をされるだろうし、しかもその理由が懐かしい場所だからなんてもっと言えない。
だから皆が寝静まった真夜中、隠れて抜けて来たのだけど……どうやらアタリだったようだ。
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おバカな傀夢(プロフ) - 皆さん、上手くて凄く尊敬します！！え、もう。好きになっても良いですよね。 (2018年6月26日 21時) (
レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - え、ウチの子がとても良い感じのクズ感。そして、ミルクさんとロストアイズさんがクールビューティ過ぎて好きです。 (2018年6月26日 21時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - 自然悦岫さん» 見てみます！ (2018年6月26日 6時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
自然悦岫(プロフ) - ドットコムさん» ありがとうございます。モデルにした谷川俊太郎さん作詞の合唱曲、「サーカス�機‘参宗縮粥廚鮴�非YouTubeで聞いてみてください。 (2018年6月25日 22時) (レス) id: 18ee1d3faa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - ロストアイズさんカッコよ！！！！！！！ (2018年6月25日 22時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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