42 学生だから青春しないと ページ43
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写真を撮り終えてブラブラ歩いていると、女の子達が轟くんに駆け寄ってきた。
「あのっ、轟焦凍くんですよね？写真お願いしてもいいですか？」
「おう。」
『あっ、私撮りますよ〜！』
「わぁありがとうございますっ！」
「あの、次私もいいですか〜？」
『はーい！ちょっと待っててくださいね。』
轟くんは体育祭2位で、父親がエンデヴァーで、何より顔が良い。
一人の女の子を皮切りに、轟くん写真撮影会が始まってしまった。
『こんな感じで大丈夫ですか？』
「めっちゃいいですっ！本当にありがとうございました〜！」
「次私たちお願いしますっ！」
……いや女の子、ちょっと近すぎない？
む、胸当たっちゃってるやん。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。
モヤモヤする。
『撮ります〜！』
というか轟くん、相変わらずの無表情。
笑うなんて無理だろうから、もっと笑って！なんて言えない。
これキリないな……。どんどん人が集まってきちゃう。
「悪ぃな。めんどくせぇから逃げるぞ。」
『え、まじか！』
轟くんが私の手をパシッと掴んで、走り始めた。
『あの、もういいんじゃない？』
しばらくして歩き始めたところで、手を離して欲しいと提案する。
「……このままでいいだろ。」
『えっ、私手汗凄いでしょ！？恥ずかしいよ…。』
「別に平気だ。」
『うぅ、分かったよ……。そうだ、轟くん私とも写真撮らない？』
携帯を取り出して、自撮りアプリを開く。
「分かった、後で送れよ。」
『はーい、じゃあ撮るよ〜！』
写真を撮る準備をすると、轟くんが私の身長に合わせて、屈んでくれた。距離が近い。い、いい匂いがする……！
設定したタイマーが1になった時、
轟くんがニコッと、口角を上げて笑ったのだ。
意外すぎるその表情に、目を開いてビックリしてしまう。
『えっ、轟くん、笑ったの！？』
「おう、だって写真だろ。」
『さっき、全然笑ってなかったじゃん…？』
「さっきはどうでもいいやつだったから。どうせ俺の顔と家柄しか見てねぇだろうし。」
『そ、そっか〜…！』
やばい、私だけに笑ってくれたとか、
そんなの、めちゃめちゃ嬉しくなっちゃうじゃん。
「行くぞ。」
『うん！』
それからは手を繋いでるからか、女の子に話しかけられることもなく、文化祭を満喫できた。
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作者名：いるか | 作成日時：2020年6月17日 16時
