エンデヴァーガチ勢な女の子の話【轟焦凍】 (ページ27)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:422,225 hit

26 足をつったらこの世の終わりページ27

26

やっとの思いで、共同ルームのソファにたどり着き、轟くんに降ろしてもらう。

『ごめんっ、ありがとう…。』

轟くんが、目の前にしゃがみこむ。

「足つったら伸ばすといいんだよな？」

そう言って、轟くんは私の靴と靴下を脱がし、私の左足に触れた。

『待って！まだ伸ばすの怖いっ…。』

「ちょっとは我慢しろ。」

左足を無理矢理、伸ばされる。

『いっ、痛い痛い痛い痛いっ！』

痛くて、反射で足を引っ込めようとするも、力及ばず伸ばされたままにされる。

「暴れるなよっ…。」

つま先をぐっと押され、アキレス腱を伸ばされる。

『うぅ、もう無理ぃ……っ。』

恥ずかしいのと痛いのとで限界で、涙が少しこぼれてきた。

ふわっと、背中に何か、暖かい感触がした。

「……もう少し、頑張れ。」

轟くんが、背中をさすってくれてるらしい。

その手の温かさに、少しだけ痛みが引いた気がした。

だんだんと痛みが引いてきた。

『大分痛くなくなった…。』

「そうか、もう大丈夫だな。」

『あ～死ぬかと思った！ごめん本当にご迷惑をおかけしまして……。』

力が抜けて、ソファにそのまま横に倒れた。

「別にいい。これからはストレッチもっとやれよ。」

『はーい…。』

「……なぁ。」

『ん？』

「今の俺は、親父よりかっこよかったか？」

最近、授業で実践をした時に、彼は必ず私にこう聞いてくるのだ。

『それいつも聞くね…、ちょっとだけ、ほんのちょーっとだけ！エンデヴァーと同じくらいかっこよかったかも。』

「……！そうか。」

珍しく、仏頂面の彼がふっと笑う。

少しドキッとしてしまった。

『あぁ～、痛みなく立てるって幸せ…！』

照れ隠しに急いで立ち上がって、お風呂に向かう。

後ろに振り返って、轟くんの方を見る。

彼の顔は走ったからなのか、顔をほんのり赤くしていた。普段涼しい顔をしているから、なんだか珍しい。

『轟くん、お礼何がいい？』

「……学食のそば、温かくないやつ。」

『本当にそば好きなんだね、分かった！』

・