享年28歳未婚ハイスペック社会人（女）の生まれ変わった先が名探偵コナンの世界だったので前世からの親友ととりあえずがんばる［1］

2.ここはどこ？私は私？ ページ2

例えば、今日外出をしなければ。

例えば、カフェを出た時間が少しでも早ければ。

例えば、ひったくり事件が起こらなければ。

例えば、コーヒー缶を車道に捨てた者が居なければ。

例えば、この車の運転手が、もう少しホワイトな会社に勤められていれば。
…いや、これはあくまで私の想像で、ただの寝不足や不注意かもしれないけれど。


何か一つでも違えばこんなことにはならなかったはずだ。
それとも、こうなる運命だったのかもしれない。今となってはそれも分からないけれど。


とにかく、この状況から予想でき得る最悪の事態、つまり、私達二人が轢過事故(れきかじこ)に巻き込まれるまでに至ったのだった。


＿＿＿＿


意識が戻ってくると同時に、瞼の隙間から光を感じた。

そっと目を開けると白い天井とナース姿の女性が立っているのが見えて、あの後助かったんだな。と自分の置かれている状況を把握した。

「あ、Aちゃん、目を開けましたね〜！」

看護師さんが笑顔でそう言った。

怪我人を前にやけにテンション高くない？
あと、"Aちゃん"って、やけにフレンドリーに接してくるじゃない？

まあいい。
イチは無事なのか。今がいつなのか。ここが何処(どこ)の病院なのか。
とりあえず知るべき情報が山ほどにある。

最初から聞いていこうと声を上げようとしたが、「あー」とか「うー」とかしか発音できない。
というか息が漏れてるだけで発音もできてない気がする。事故の影響で発声障害とか…？


声が出せないことに焦ると、その様子を見て看護師さんが驚いたらしい。

「あら、何か喋ろうとしてるみたいですよ、凄い賢い子ですね！」

え？賢い？子？喋ろうとして声が出せない大人の何処(どこ)が？

私が更に困惑していたら突然、何かに抱き上げられた。
…ん？抱き上げられた？


抱き上げたのは若い女性で、その隣には同じく若い男性が立っていた。
さっきの看護師さんは相変わらずにこやかな表情でこちらを眺めてる。

え、私一応成人女性なんだけど、軽々持ち上げるって、なんだ、巨人か？

「だいぶ驚いてるように見えるな。」
「ふふ、初めて私達の顔をみたからかな？」

腕の中は妙に落ち着くし、このお二人の顔を見てると無条件で信用出来るような感覚がある。

女性が自己紹介しましょうか、と声をあげて、そのまま続けた。

「初めまして、貴方のお父さんとお母さんだよ。」


…いや、なにこれ？

3.再会したよ。→←1.ありのまま、起こったことを話すよ！

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