♯ ページ11
……ペヤング? 訳がわからなくて場地さんの方を見やると、彼も不思議そうにキョトンと目を瞬かせている。
「あ、もしかしてもう昼飯食っちまった?」
「いえ、まだですけど……」
「なら一緒にペヤング食おうぜ!」
「ペヤング……ですか」
「さっき泣かせちまったしさ、コレやるよ」
「いや、申し訳ないので私は──」
ぐうぅ
「……ぶっ、はは! タイミングよすぎだろ! 腹の音!」
「聞かなかったことにしてください……」
「っふ、くく……わかったから、とりあえずペヤング食おーぜ。一個やるから」
「……ありがとうございます。あと笑いすぎです」
「わ、わりぃ……ふはっ!」
「とりあえず一発殴ってもいいですか?」
止まない笑い声に少々イラつきながら握り拳を作ると、場地さんはもう一度謝りながら口元を片手で覆った。絶対悪いと思ってないでしょ。不満げに唇を尖らせる私を見て笑った場地さんはペヤングにお湯を入れるため、ポットがある方へ歩いていった。それに習うように私もあとを追いかける。
ポットから勢いよく出るお湯を見つめながら、私の心のモヤモヤを一気に取り払ってくれた場地さんみたいだ。なんてボーッと思う。
「次、オマエな」
「はーい」
私に敬語で接することは諦めたんだな、と頭の片隅で思いつつ言われた通りペヤングへお湯を入れる。容器が温かくなっていくのを手のひらで感じていると、なぜだか涙が溢れてくる。場地さんが言っていた通り、今日の私はジョーチョが不安定みたいだ。
隣で子どものようにウキウキしながらペヤングが出来上がるのを待っている場地さんを横目で見やる。心の中でありがとう、とお礼を呟いてから私も場地さんの隣に腰を下ろした。
「あ。そういやナマエ、何てーの?」
「今さらですね」
「いつまでもオマエって呼ぶわけにはいかないだろ」
「AAです」
「ん、Aちゃんね。俺は場地圭介、よろしくな」
「こちらこそ?」
「何で疑問系なんだよ」
「いや、よろしくするほどの付き合いになるかなぁ? と思いまして」
冷てぇやつだなー。なんて場地さんはぼやいていたが、それよりもペヤングの湯切りの時間になったことの方が重要らしく「お!」と声をあげて足取り軽くお湯を捨てにいった。私もそろそろかな。
立ち上がってシンクまで歩いていく。ソースの袋を開けて混ぜ混ぜしている場地さんの隣で、ペヤングの湯切りを──。
「あ」
したかった。
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むつひら(プロフ) - かさごさん» 全裸待機ありがとうございます!遅くなりましたが帰ってきますー!待っていただけて嬉しいです😭✨ほんとにほんとにありがとうございます! (2022年1月13日 22時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
かさご - 全裸で全力で待ってました!!!!ありがとうございます!!!!お帰りなさい!!!!(誰) 初コメ失礼いたしましたm(*_ _)m (2022年1月13日 17時) (レス) id: b2136fe961 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - 星海さん» 気遣っていただきありがとうございます😭✨完結に向けて少しずつですが更新していきます!大好きって言ってくださる星海さんが大好きです!ありがとうございます! (2021年12月29日 19時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
星海 - 面白くて大好きです!ゆっくり、ゆっくり無理せずに投稿してくださいね!楽しみにしてます! (2021年12月29日 8時) (レス) id: d3e10c9f88 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - しろんさん» とても好きありがとうございます!必ず続きあげますので、お待ちください✊続きも面白いって思ってもらえるようにがんばります! (2021年12月27日 23時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むつひら | 作成日時:2021年11月12日 16時