第517話 ページ28
「とっところでどうしたんですか?こんな所で」
「ああいや、ちょっと息抜きに飯食いに行っててな...そしたら帰りにお前がいたって訳」
「ああ、なるほど.....それはお疲れ様です」
「まったくねー.....火影なんてオレの柄じゃないってのに」
「そんなことないですよ!案外似合ってますよ」
「そお?まーお前がそう言うならそういうことにしとこうかね.....」
そう言って首をぐるぐると回すカカシさん。本当に疲れてるんだろうな.....無理もない。
「.....じゃ、そろそろ戻るわ」
「あっはい!あんまり無理しないでくださいね?」
「はいよ。じゃあな」
「さようなら」
ヒラヒラと手を振って気だるそうに去っていく背中を見つめる。
.....やっぱり私のせいで余計な重荷増やしたくないんだよなぁ.....。
密かにそんな思いを携えながら、私は真っ直ぐ家へと帰った。
「カカシさんそっち終わりました?」
「んー...もうちょい。それ後でオレがまとめてやるから、置いといていいよ」
「あ、じゃあその間にこれ片付けちゃいますね」
「助かる」
相変わらず今日も火影室は大忙し。私はいつも通り、カカシさんの手伝いによる雑務に追われていた。
.....えーっとこの書類はこれでいいんだっけか.....。
「.....カカシさーん、これなんですけど.....」
「ん?」
書類に目を通しながらカカシさんを呼んだ。
「.....あーこれね...確か詳しい書類がこっちに.....あった...多分これで.....A?」
私の目の前で首を傾げるカカシさん。
気がつけば肩と肩とが触れ合う程の距離になっていた。カカシさんの目に映る自分の姿がはっきりと見えて、いつもの彼の匂いが鼻をかすめた。
しばらくの間、お互いの目がしっかりと合う。
.....ち.....近いッ!!!
「?」
私は思わず目を逸らすと、ついでにさり気なく距離を取った。
「す、すいませんありがとうございます!大変よく分かりました!」
「?あ、ああ.....書類ここに置いとくぞ?」
カカシさんはそう言うと再び席に戻る。私は小さく息を吐いた。
び.....びっくりしたぁ.....。
「.......」
.....やばいな。いつもならこれくらいなんともなかったのに.....意識し始めただけでこんなことになるなんて.....。
これじゃあ心臓がいくつあっても足りない。
「.......」
ちらっとカカシさんを盗み見る。.....真面目に仕事に取り組む姿勢が、悔しいがいつもよりもカッコよく見えた。
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千 - 続き嬉しいです!カカシ先生尊い…。 (2020年5月26日 8時) (レス) id: 1380412b8e (このIDを非表示/違反報告)
透羽-とわ-(プロフ) - ここまでイッキ読みしてしまいました〜!カカシ先生が尊い!!これからも更新頑張ってください!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 71f7d12171 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - BORUTOのコクリと夢主が付き合ってる設定の小説も書いて欲しいです (2020年5月24日 20時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続きがとても気になります!!!カカシ先生大好きなのでこのお話大好きです。更新頑張ってください (2020年5月24日 1時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2020年5月24日 0時