色 付 く 世 界 で。【煉獄杏寿郎】

三十八 ページ38

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炭治郎くんと別れ、


あの海を訪れていた.





その綺麗さに目を奪われていた.








太陽の光が反射してキラリと光る海面、



穏やかな並が打ち寄せ心地よい音を立てる.



優しく吹く風にのって漂う磯の香り.










ずっと見たかった色が付いた青い海.





やっと見れたのに、涙が頬を伝う.










＿＿＿＿杏寿郎さんが一緒じゃないからだろう.










『 ……ｯ杏寿郎さん、海は、とても綺麗ですね. 』





いつも彼と会った時と同じように、隣に笑いかける.










＿＿_＿＿返ってくる声も、笑顔もないのに.










杏寿郎さんがもう、帰らぬ人だと言うことは頭では分かっている.





けれど、



どうしても、心がソレを認めていないようで＿＿＿＿










会いたい、



声が聞きたい、



笑顔がみたい、





どうして、もう叶わないの？










私も、貴方に愛してると伝えたかった.





『 杏寿郎さんｯ……… 』










ああ、貴方に会いたいｯ













「 A＿＿＿＿ 」





『 ……えｯ 』





涙でぼやける視界に映る、杏寿郎さんの姿.










夢？幻覚？










「 俺はずっと、君の傍にいる.

だから、泣かないで欲しい.
君に泣かれてしまうと、俺はどうしたらいいか分からない.
抱きしてやることも出来ないからな… 」





『 ……ｯ杏寿郎さんｯ 』









ぼやけていた視界は鮮明になり、

光を帯びた杏寿郎さんが映った.





『 ……ｯ 』





杏寿郎さんは、今にも泣き出してしまいそうなところを
必死にこらえ、笑っている様に見えた.







「 A、俺は君の傍を離れたりはしない.
目には見えぬが、ずっと守っている.

完全に居なくなったわけではない.


＿＿＿＿だから、安心してくれ、笑ってくれ 」







眩しい光に包まれ、

その光の中に杏寿郎さんは消えていった.





『 ……杏寿郎さんｯ! 』










＿＿＿＿「 肉体はなくなっても魂は宿るのよ. 」





＿＿＿＿「 亡くなった人の魂は、大切な人の所に還るの. 」





もうひとつ、祖母が言っていた言葉を思い出した.










杏寿郎さんにとって、いつまでも還る場所が＿＿＿＿










最期に見た杏寿郎さんの姿は、


最後の約束を果たすために現れたのかもしれない.










『 杏寿郎さん、

最期に会えて良かったです(また会えて良かったです) 』





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