キミの好きなもの。 (ページ6)

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大我side

終活、

24歳で考えることになるとは思っていなかった。

ごく普通の高校を出て、大学に行って、ごく一般の企業に就いて。

俺の人生って、そんなもん。

きっと未来も、普通に同じ会社で何十年働いて、いつの間にか結婚していて、子供が出来て。

そうなると思っていた。

「もって半年だと考えてください。」

会社の人間ドックに引っ掛かって精密検査をすればそんなことを告げられて、

受け止めれるわけがなかった。

かといって、半年後俺が死んだら、

泣くほど悲しむひとは居るだろうか。

そんなことを考えて、

自分で出した結論は最後までひとりで、

この人生を終える事だった。

白基調の何も無い部屋。

見られたくないものはさっさと処分して、必要のない雑貨や服はダンボールに。

自宅の生活感のあった部屋はいつの間にか質素な部屋になっていた。

いつ死んでもいい、

そんなふうに日々を送っていた時、

「たなか、じゅり…、」

出会ってしまった。とはこういうことだろう。

残り少ない時間に、俺は人生初めての

恋をした。