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ガラリ、と滞りなく扉が開いた。開けた人物は僅かに目を張ったのが分かる。この時間に解錠してある事はあっても、誰か居ることは少なかったんだろう。
実際、彼女が来るまでこの教室は僕一人だった。
何でも無い風を装って、おはようと声掛けた。少し戸惑ってから返事が帰ってくる。
「……どうした? そんなとこで立ってないで席に着いたらどうだ」
「い、いえ、あの……浅野君が朝早く教室に居るの珍しいなって……」
だろうな。登校時間は然程変えてないが、僕はこの時間教室にはいない。
ただ何となく、今このタイミングで、この時間に教室に居れば、君と話せると思ったんだ。だから今朝の分の仕事は昨日の放下で終わらせてる。
とは言わずに言葉を濁した。
「君は何時もこの時間に登校するのか?」
そして、わざわざ知ってる事を彼女に問えば、首を縦に振って、この時間からの方が勉強できると補足する。
沈黙にはならない範囲で静かに天城と言葉を交わす。こうして時間を取るのは随分と久々に感じた。
彼女が準備を終わらせたのを見計らって、中間考査の話題を振ってみた。当初の成績通り、やはり彼女は理系が苦手なままだった。
姿勢を直して改めて彼女に向き合う。え? と首を傾げる天城。
「分からないとこ、どこだ?」
「え……?」
「教えてやると言ってるんだ。さっさと教科書を準備しろ」
少しキツい言い方だっただろうか。言葉に反応した天城は慌てて物理の教科書を取り出した。
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葵(プロフ) - 雪輝さん» わざわざコメントありがとうございます! ずっと浅野君sideかどうかはまだ未定ですが、彼メインで書かせて頂きます〜! そんな恐れ多い…! そ、そこまで言われる作品になれて恐縮です照 これからもマイペースに書かせて頂きます!! (2019年8月19日 2時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
雪輝(プロフ) - ま、まさか浅野君sideの作品とは…!!最近全て読ませていただいたのですがこの作品、大好きな作品です!これからも頑張ってください!本当に尊敬してます! (2019年8月14日 0時) (レス) id: 86075eaf72 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - サヤさん» 新作と言うか続編と言うかって感じだけどね笑 うん、ありがとー。そうね、やっと解決したっぽいもんねぇ。更新される度とかサヤちゃんが大変そう。えっ、わざわざそんな面倒臭い事してんの?やめとけって。適当なのバレるじゃん。いえいえ、長コメありがと! (2019年8月4日 21時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - アヤさん» うるさいうるさいありがとう。そう、君は相変わらずうるさいね?本当だよねー、何したかったんだろ。でも訂正の時と同じ感じで、元があると結構楽な気はしてる。まぁだからと言って頻繁に更新するかって言われたら話が違うんだけど。 (2019年8月4日 21時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 卵符鈴さん» 初めましてー、ご丁寧にありがとうございます!anotherからでも見つけて頂き嬉しい限りです!anotherだけでも通じる様に作るべきか迷ったんですが、どうせならと思いまして笑 更新頻度についてはのんびり気長にお待ち下さいませ。 (2019年8月4日 21時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twitter.com/uranai_aoi/status/1151152311739150336?s=19...
作成日時:2019年8月2日 0時