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「体育祭、二人の距離」:4 ページ5

「ハヤトさん、どうかしたんですか?」

私が間に入ると、ハヤトさんは顔を赤くして、夢追さんと緑仙さんはニヤニヤとしていた。

「ハヤトがさー、借り物競争出るの恥ずかしいって」

緑仙さんがニヤついたまま私にそう話し、ハヤトさんは「い、いや…その…」と誤魔化そうとしていた。

「私…ハヤトさんが借り物競争で活躍する姿、見てみたいです!」

思ったことを素直に伝えると、ハヤトさんは恥ずかしそうに___でもどこか嬉しそうに、

「…出場、しましょうかね」

と言って、朝礼台の方に歩いて行った。



借り物競争が始まり、参加者がコースに並んだ瞬間___観客席からはざわめきが起こった。

視線はもちろん、生徒会長に注がれていた。

ざわざわと観客席が騒いでいる中、緑仙さんと夢追さんがからかうように応援の言葉を送ると、ハヤトさんは照れ隠しなのか顔を背けていた。

ふと観客席で見ていた私と目が合い、ふっと優しく微笑み返される。反射的に頬が赤くなり、私は顔を俯かせた。

「それでは…位置について、よーいドン!」

パァン、とピストルの音が鳴り響いた。

ハヤトさんは他の走者と余裕で差を付けてあっという間に独走状態になった。そして、コース終盤にある借り物が書かれた紙を開いて確認する。

その内容を見た瞬間、ハヤトさんは顔を真っ赤にして固まっていた。

焦ったように口をパクパクと動かし、俯く。その様子を不思議そうに見守る観客席。

「ハヤトさん、どうしたんだろう…?」

その私の言葉は、観客席にいた全員の心情だったに違いない。

しばらくその場であたふたしていたハヤトさんだったが、二人目の走者が借り物が書かれた紙の地点までたどり着いたことで意を決したのか、観客席の方に駆け寄ってきた。

観客席に座っていた女子生徒たちがきゃあきゃあと喜ぶ中、ハヤトさんは私の方に歩み寄ってくる。


「…Aさん、一緒に来てくださいませんか?」


「……は?」

思わずとんでもない声が出てしまったが、そんなことを気にしている場合ではない。

ハヤトさんはしっかりと私の目を見つめ、右手を差し出している。ルックスの良さも相まって、まるで舞踏会で王子様に踊りに誘われたみたいだ。

視線は一気に私の方に集まり、辺りは静まり返っていた。

何かの間違いではないかと周囲を見渡すが、名前まで呼ばれた上で間違えるはずもない。

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設定タグ:夢小説 , 加賀美ハヤト , 2434   
作品ジャンル:ラブコメ
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こみ - 私もこの1年間高2A組だったのですごく嬉しかったです!幸せでした! (2021年4月4日 15時) (レス) id: a0adc0f2be (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ばちぅ兼もてゃさん» こんにちは。コメント、そして読了ありがとうございます!続編の方は別のお話と同時進行の予定ですので、もうしばらくお待ちください。 (2020年6月20日 18時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ばちぅ兼もてゃ - こんにちは...ばちぅ兼もてゃです...最初から最後まで全部読んでました、執筆お疲れ様でした!続編も楽しみにしてますね、もちろん読みます (2020年6月20日 18時) (レス) id: 603073c1b4 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 蒼渇さん» 蒼渇さん、コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。よければこれからもお付き合い頂ければ励みになります。 (2020年6月2日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼渇(プロフ) - ひぇ…めちゃくちゃキュンって来ました…好きです!!!!!!!無理せず更新頑張って下さい! (2020年6月2日 10時) (レス) id: c685f96854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊織 | 作成日時:2020年5月30日 14時

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