「文化祭とほんの少しの魔法」：５ ページ20
ドォン！！とラグビー選手のような豪速急のタックルを夢追さんにかまし、頬に擦り寄る少女。白髪の長い髪が印象的で、隣町にある高校の制服を着ていた。
「ちょっ…痛い！！白百合さん！？」
背中に蝉の様な体勢になりながらもしがみつく、白百合さんと呼ばれた少女。
突然の光景に私達が茫然としていると、白百合さんはこちらを見てにっこりと笑い背中を離れて挨拶をした。
「あ、こんにちは〜！私立ViViD学園高等部二年の白百合リリィです！いつもゆめゆめがお世話に…」
「母かあんたは…えっと、友人の白百合さんです…てか何でここにいるの」
「えっ、ゆめゆめ私と会えたのにひどくない…？今日学校休みだったから、ゆめゆめから貰ったチケットで文化祭来たの」
白百合さんはポケットから文化祭の招待チケットを取り出してひらひらと見せていた。うちの学校は生徒から渡されるチケットが無ければ入れないので、夢追さんとは相当仲が良いのだろうか。
「…渡すんじゃなかった」
「えっ！？ゆめゆめひどい！ゆめしらてぇてぇの信条を忘れたの！？」
「何だよそれ！…ごめん、ハヤト。厄介なのに捕まったから、あとは二人で周ってて」
「わ、わかりました…」
私とハヤトさんは夢追さんの叫び声と白百合さんの発狂を背に、お化け屋敷へと赴いた。
*
加賀美side
…先程から、右腕が重い。
それも当然だ。だって、入り口をくぐってすぐにAさんがしがみついてきたのだから。
ここは出し物のお化け屋敷内。廃校となった学校の理科室、というテーマでセットが作られており、中々雰囲気が出ている。
入り口で受付を担当していた生徒に「お二人カップルですか？」と聞かれた時はさすがに心臓が止まったが、Aさんが余裕そうにふん、と鼻を鳴らしていたのですぐに忘れていた。
「…怖くなかったんじゃないですか？」
「い、いえ…こういうのは怖がってるふりをしている方がきゃあっ！！」
震えた声、さらに些細な物音一つ一つに丁寧に反応する彼女の姿は刺激的だった。私はこういう恐怖を煽られるようなことに対して平気…それどころか、変に興味を惹かれるくらいなのに。
それに、彼女があまりにも必死に腕にしがみついてくるので、ここは落ち着かせるためにもエスコートしなければ。
「大丈夫ですよ。ちゃんと私が横にいますから」
「で、でも…」
「私、こういうことに対しては強いので…どうぞ頼って下さい」
「文化祭とほんの少しの魔法」：６→←「文化祭とほんの少しの魔法」：４
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こみ - 私もこの1年間高2A組だったのですごく嬉しかったです！幸せでした！ (2021年4月4日 15時) (
レス) id: a0adc0f2be (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ばちぅ兼もてゃさん» こんにちは。コメント、そして読了ありがとうございます！続編の方は別のお話と同時進行の予定ですので、もうしばらくお待ちください。 (2020年6月20日 18時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ばちぅ兼もてゃ - こんにちは...ばちぅ兼もてゃです...最初から最後まで全部読んでました、執筆お疲れ様でした！続編も楽しみにしてますね、もちろん読みます (2020年6月20日 18時) (レス) id: 603073c1b4 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 蒼渇さん» 蒼渇さん、コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。よければこれからもお付き合い頂ければ励みになります。 (2020年6月2日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼渇(プロフ) - ひぇ…めちゃくちゃキュンって来ました…好きです！！！！！！！無理せず更新頑張って下さい！ (2020年6月2日 10時) (レス) id: c685f96854 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊織 | 作成日時：2020年5月30日 14時
