5話 ページ5
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私と彼の関係は、特段変化があるわけでもなく、名前も知らぬまま、朝出会う数分のみが彼との関係だった。
そんな関係に変化が訪れたのは、はじめのきっかけ同様些細なことだった。
『「あ」』
帰宅中、自宅最寄駅からの帰りのバスを待っていた時、ふと顔を上げると彼はそこにいた。
人は驚くと母音しか出ないんだなぁ、なんてのんきに思っている私だが、彼は私の想像以上の行動をとった。
「帰り、一緒なん珍しいっすね」
少し照れたように頬を掻きながら、彼は私の横に立ち、ふわ、と遠慮がちに笑う。
『あー、今日少し用事があって遅かったんです』
そーなんすね、とマスクに指を引っ掛け、彼は、なんか、嬉し、と口元を露わにして笑った。
「んー、あ、そういや自己紹介しません？俺は捏島孝之。2年4組っす」
彼の言葉に驚く。
何故なら彼の立ち居振る舞いが完全に年上のそれであったし、まさか同級生とは思わなかったからだ。
『え、同い年だったんだ...！？私は露草A。2年5組だよ。えと、タメでも良い、かな...？』
そう思った私が思い切ってそう聞けば、
「ん。俺、自分が年下やと思っとったから意外やわ。タメでよろしゅうな、露草」
とまたしてもふわ、と嬉しそうに頬を緩めていて。
『うん。こちらこそよろしくね、捏島くん』
そう返した私の頬も、その感覚が心地いいほどに緩んでいた。
「...にしても今までの俺らの関係面白いな」
プー、と音を立てて到着したバスに乗り込み、特に示し合わせたわけではないが、隣同士に座る。
『ほんとに。というか、明日からは朝、話せるね』
捏島くんの言葉に朝の様子を思い出せば、やはり違和感しかなくて。
「おん。部活漬けの俺にとって唯一の癒しやってん。寝坊せんといてな」
『うん。任せて！』
私達はそんな約束を交わし、同じバス停で降りると、反対方向に別れた。
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イオ(プロフ) - ウルフ・レトさん» ウルフ・レトさんコメントありがとうございます！そういっていただけて嬉しいです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2021年11月29日 17時) (
レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ・レト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ふと、目に入って読んでいたら気づけば、あとがきまでいってました。文書の書き方といい、全てに惚れました。そしてkn さんがカッコよすぎです…！ (2021年11月29日 16時) (レス) id: 284db47999 (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - チャコさん» チャコさんコメントありがとうございます！続き待っていてくださいね！ (2021年11月26日 6時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
チャコ - この物語のknさん好きです！続きが楽しみ！ (2021年11月26日 6時) (レス) @page7 id: db343170a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イオ | 作成日時：2021年11月23日 12時
