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私は周りから降り注ぐ痛いほどの異質なものを見る視線を気にせず、コンコンコン、と車の窓を叩く。すると心なしか皮膚が艶やかな様子になっている、車内にいた老人が目を見開き窓を開ける。
おじいさん「な、何の用じゃ?」
私に珍しいものを見る視線を送りながらそう言うおじいさんは、若干こちらを警戒しながらそう言う。
『あの、今何が起こってるのかわかります?』
私がおじいさんにそう聞くと彼は首を左右に振り、知らんぞ、と言ってくる。
『そうですか...』
私はそう返事をし、おじいさんの乗っていた車から少し離れ、考え込む。そして暫く考え、仮説を立ておじいさんのところへと戻った。
しかし、私の仮説を伝えようとしたおじいさんはいなかった。いや、いることにはいるのだが様子が全くもって違った。
先程まであまり気にならなかった肌の艶めきはドロドロと皮膚が溶け出しているせいか、艶めきはさらに増していた。そしてさらに肌の色がだんだんと青紫や緑色へと変色していっていた。
ふと周りに視線を向ければ車に乗っていた人々は目の前にいるおじいさんと同じような状況になっていた。太っているが故に下車しにくくなっているらしく、車のドアに引っかかりながらも出てくる人がちらほらと現れた。
また、降りることを諦め、溶けていることを太陽のせいと考えたのか、何故か暗くなっている橋の向こう側へと車を進める者もいた。
多くの者が反対の土地へと進んだことにより、大きな橋は重さに耐え切れず歪んでいた。いつ崩壊が起きてもおかしくないだろう。
すると目の前にいたおじいさんの横に座っていたおじいさんが車の屋根をバコッと外し、贅沢三昧で富んだお腹を引っ掛けながらも車から脱出し、橋の方へと向かって歩き出した。
しかしそのおじいさんが橋へと数歩、歩みを進めた時だった。
『あっ...』
グシャ...
皆が静まり返りおじいさんの行動を見ていた中、随分と生々しい音が響いた。
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作者名:イオ x他1人 | 作成日時:2021年1月25日 22時