サルフェイ ページ9
「おかえり、フェイ」
「…ああ、ただいま」
ラグナロク、一回戦。僕は本当の記憶を取り戻した。フェーダにいた頃のあの記憶、全てを。
僕達のリーダーであり、そして恋人だったサリューは目を細めて、懐かしむように僕の頬を撫でると、唇に優しい口づけを落とす。そして、それに応えるように僕も目を瞑り、彼からの愛を受け止めた。
「君のことをずっと見ていたんだ」
「そう、だったのか」
「…あんな無邪気な笑顔、僕見たことなかったから悔しかったなあ」
「そ、それは…っ」
「ああ、分かってるよ。君の記憶を消すと決めた時から分かっていたんだ」
「…うん」
彼の目には、嫉妬の感情が渦巻いているようにも思える。だけど、それは僕にとって、とても心地よく感じて。
だって、それは僕が君を忘れている時も、君は僕を忘れないでずっと必要としてくれていたということだろう?それだけ僕を愛していてくれたということだろう?それだけ思われて、嬉しくないなんて感じるはずがないんだ。君は今だって僕を必要としてくれている。
その事実が嬉しくて、嬉しくて。
「SARU」
優しい声で彼の名前を呼び、慈しむような細められた目を見つめ、自ら彼の唇に僕の唇を重ね合わせる。そして、彼に教わったように口を開けると、生暖かい彼の舌が僕の中に入ってくる。
「ん…ぅ、ふ、」
優しくてだいすきな彼の温もり。僕たちはまだこの世界に存在していると、確かめることが出来る温かさ。心地よい気持ちさと、的確に感度を高めていく口の中を蠢く他人の舌。
「…っは、…は、ずいぶん積極的だね?」
「ん…ッ、は…でも、嫌いじゃない…だろ?」
「ははっ、それは否定しないよ」
腕を引かれ、導かれるままにベッドに転がされると、嫉妬だけじゃなく、興奮も混じるその瞳に見下ろされる。それだけで僕の身体は火照るように熱く、確実に昂りに連れていかれる。
ああ、これだ。僕がずっと求めていたのはこれなんだ。
天馬たちと過ごしたあの生ぬるいだけの日々じゃなくて、僕が求めていたのは彼と過ごした濃密で、火照るほど熱くなるようなこの感覚なんだ。
「ベッドの上で、他の男を考えるのは禁止だよ?」
「…じゃあ、君しか考えられなくさせて?」
彼の首の後ろに腕を回し、こちらに引き寄せ、もう一度彼の唇に、今度は軽く触れるだけのキスをし、その瞳を見つめながらそう伝えると、もうそれ以降は僕たちに言葉なんて必要なかった。

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mini @ 気まぐれ返信ごめんなさい(プロフ) - ふふる。@お布団もふもふ教副隊長さん» わ〜ありがとうございます〜南涼まじ良きですよね...雨雪ですか!書いたことないカプなので遅くなるかもしれませんが大丈夫ですよー!! (2020年6月4日 18時) (レス) id: 5da2f08714 (このIDを非表示/違反報告)
ふふる。@お布団もふもふ教副隊長(プロフ) - mini @ 気まぐれ返信ごめんなさいさん» 南雲に風水〜!マジ神です!雨雪って作れますか? (2020年6月4日 18時) (レス) id: 28f80b2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
mini @ 気まぐれ返信ごめんなさい(プロフ) - 蓮花さん» リクエストありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです〜!基緑ですね、了解しました! (2020年6月1日 10時) (レス) id: 5da2f08714 (このIDを非表示/違反報告)
蓮花 - リクエスト失礼します!基緑お願いします! (2020年6月1日 6時) (レス) id: c9c79794b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年5月10日 5時