推理 ページ40
「太宰さん」
「……聞くよ」
短く太宰は応えた。
「ルール違反しましたね？」
「さぁ、何の事やら」
わたし達は台本通りの会話をした。
「此の臭い。太宰さんの云った通り、刺激臭です。
しかし、塩素の臭いではありません。此れはアンモニアの臭いです」
わたしは断言した。
「何故、アンモニアの臭いがするのか。それは、割り箸に細工をしたからです」
「どんな？」
太宰はあくまで他人事である。
大丈夫、間違ってはいない…はず。
「先ずフェノールフタレイン溶液を割り箸に染み込ませます。そして、手にはアンモニア水溶液を着ける。
そうすれば、自分がハズレを引いた時に手で握って赤色を浮かび上がらせる事が出来ます。
マジックペンで描くのを線から下と指定したのは、浮かび上がらせる場所を限定する為です」
此処まで云ってわたしは一度話すのを止めた。
「道理だね」
太宰はそう云った。
「そして、相手に引かせる時もその方法は使えます。自分は何も書かず、相手に引かせる。
勿論其れはハズレです。当たり何て無いので」
此れは、異能力が教えてくれた。
50％何かじゃない。100％ハズレだと。
「成る程、それで？」
「わたしがハズレを引いた後、太宰さんは手で擦って赤色に反応させてからわたしに見せる。それで太宰さんの勝ち。
だからその紙の中に入っている割り箸は、両方ともハズレだ」
わたしはまず一本引き、ハズレだと確認すると、もう一本に手をかけた。
「待ち給え」
「？」
「Aちゃんの言い分は判った。しかし、完璧じゃないし……
そうだね。其れは唯の言い掛かりだ。確かに此の中身はハズレだ。
それは私が書き忘れたからだし、私がハズレを引いたとして、当たりはそのまま赤かったらAちゃんの云う細工も失敗に終わる。
それに第一
私がやったと云う証拠が無い」
太宰の云う事は正しいのだろう。わたしの推理の隙間を的確に付いてきた。
しかも、中身はハズレだと自分から云って書き忘れたと言い訳をしたし、
色を消すトリックは確かに判っていない。
そして、太宰は云った。『私がやったと云う証拠が無い』と。確かにそうだ。
手にアンモニアが着いているでしょう。と云ってもわたしにも既に着いていても可笑しくない。
太宰さんがやったとわたしが断言出来るのは『わたしがやって無いから』でしか無い訳で。
どうする。
異能力によれば推理ミスはここからが出られなくなる事を示す。
「だから、もう1ゲームやろう」
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (
レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています！ (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽斗 | 作成日時：2021年7月15日 2時
