狗巻棘の双子の妹【呪術廻戦】

29color -side 五条- ページ31

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「大丈夫」



チャックを下ろしきっても、なお俯き続けるA。

僕は手を彼女の両頬に持っていって顔を上げさせる。

しっかり顔を見られて僕は嬉しいのに、Aは少しだけ涙目で、頬が赤くなっていた。



「かわいい」



紫の目も、小さい鼻も、控えめな口に刻まれる呪印も。

ツー、と指先で彼女の印をなぞればくすぐったそうに目を瞑る。



















『っ…ん』



















その姿に、愛おしさが溢れて僕は思わず唇を重ねた。



















「(…やっべ)」

















　










思わずしてしまったから、なんの言い訳も思い浮かばない。

ほんの2、3秒ですぐに口を離して、何事もなかったかのようにAの目を見つめる。



「………あー」



どうしていいのかわからず、自分の首に手を持っていってなんとも言えない声を出す。



「(やべー、マジで何も考えられない)」



何をしても何を言っても違う気がして言葉が発せなかった。

彼女も何が起きているかわかっていない様子でただただ一点を見つめるだけ。



「…ごめん」



そう一言だけ言って彼女の元から離れた。



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