イントロ。２

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会計してたら、

そこに、

焼酎にワイン、
さきいかとチーズの入った籠持って、
丸が現れた。


俺とAと、
それから、
車型のカートのハンドル握ってご機嫌な、
たあ君を交互に見比べてる。


丸に会うんは、久しぶり。

Aの手術の前日、
あれ以来、会うてないから、
もう９ケ月になる。


丸、しばらく迷ってて。


「たあ君、久しぶり。
おっちゃんのこと、覚えてるか？」


急にしゃがみ込んで、
たあ君の髪を撫で出した。


たあ君、丸見て、嬉しそうに笑った。

こんな風に笑顔見せんのは、
俺にだけやないんやな、思て。

勝手やけど、胸が塞ぐ。


「丸山先生、今、帰りですか？
お疲れ様です」


Aがまだ、丸山先生呼んでることに、
ほっとしてた矢先。


「外泊の許可下りたんや。
良かったな。
今からAちゃんち、
寄ろうと思うてたんやけどな。
連絡しててんけど・・・」


次のセリフに、
ガツーンと、一発でやられた。


「ごめんなさい。
ばたばたしてて、携帯、見てなくて」


丸と付き合うてる？

いや、違うんか？

違うて、はっきり言うてくれや。


「今日は亮ちゃんも、一緒やったんやね」


丸が寂しそうに言うて、
やっと俺を見た。


「施設で会うてん。
たあ君、連れて帰る言うから。
送ってきた」


意味もなく、言い訳じみたことを言うてもうた。

いや、事実そのものか。


「そっか。
亮ちゃん、ありがとうな」


なんで、お前に、礼言われなあかんねん。

前の俺なら、突っかかってたかもしらん。


けど今は、確実に、
丸ん方がAに近い存在や。

悔しいけど、これが現実。





丸と二人がかりで、
Aの部屋に、
買い込んだ食材や、
施設からの借り物を、
運び込む。


Aの一人暮らしの部屋は、
広めの１LDK。


シンプルやけど、
厳選された質のええ家具だけ置かれた、
お洒落な空間の真ん中に、

大量のカラフルな、
赤ちゃんグッズが、どーんと占拠。


Aは、
リビングのラグに座って、

たあ君のために、
セロハンテープ出してきて、

絵本の修復作業し出した。


「クマのたあ君、
痛い痛いしたから、
直してあげようね」


たあ君は、その様子に、じいっと見入ってる。

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