イントロ。２

１０ ページ45

「そんなに、おっきな声だった？」


「うん。まあまあ。
隣の清水さんに聞こえへんか心配なった」


「嘘・・・」


ガーンて音が聞こえてきそうな、
顔してる。


「それは嘘。
でも可愛いかった。
我慢出来ひんかってんな？」


つい、頭、撫で撫でしてしもた。


A、ちょっと膨れて、


「そんな言い方、しないで」


ベッドん中に隠れてもうた。


たあ君を、溝から救出して、
俺も、ベッドに潜り込む。


「３人で川の字で眠るってええな」


「うん。
たあ君、あったかいからかな。
気持ち、落ち着くね」


「そやな。
むぎゅうってしたなる」


「ダメだよ、起きちゃうから」


「いや、
たあ君はちょっとやそっとじゃ、起きへんて。
分かってきたわ。
寝てくれたら、思う存分、
いちゃいちゃ出来るな」


「もお・・・」


怒ったフリしてるけど、
A、嬉しそうやねん。


女としての自信、取り戻してくれたと思う。


「A。
子育てが少し落ち着いたら、
家建てよか」


「家建てたいって、
亮、前から言ってたよね」


「たあ君も、のびのび育てたいしな。
どう思う？」


「うん。
いいと、思う。
たあ君に、いつでも帰って来られる、
実家、作ってあげたい」


「あったかい家にしよな」


「うん」


「そんでさ、今度は、たあ君も連れて、
ハワイに行こ」


「ほんとに？」


「結婚し直すんやから。
新婚旅行のやり直し。
ええやろ？」


「ん・・・」


新しい家、どんなんにしようとか、
ハワイで、何しようとか、


そんな話してるうちに、
Aは寝てしまった。


すぐそばにある、
二人の可愛い寝顔を見つめる。


俺の大切な大切な宝物。


俺らの物語は、始まったばっか。

まだまだ、長い長いメロディーの、

ほんの、イントロ部分。


これからずっと、奏でていこう。


３人で・・・





おまけ、おわり。

エピローグ。１→←９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す