イントロ。２

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迷ってるまんまで、
今日まで、時間だけが過ぎてしまった。



肩から、たあ君を降ろして、
亮が私を振り返った。


「ママ！
ライオンと一緒に写真撮ってや」


ごく自然に、私のことをママと呼ふ。


「あっ、うん」


ライオンに夢中のたあ君と亮に、
携帯向けたら、


「良かったら、ご家族で撮りましょうか？」


飼育員さんに、声かけられた。


亮と一緒に写真におさまるのは、
躊躇う。

もうそんなこと二度とないって思ってた。


それに、
写真に写るのって、昔から苦手。


「ありがとうございます」


亮が先にお礼言ってしまって、


「じゃあ、撮りますね」


私の携帯を手にした、
飼育員さんの、
その声に背中押されて、
ライオンの檻の前に立つ。


たあ君を抱っこした亮と並んだけど・・・


「なんでちょっと離れてるねん」


「別にそんなつもりは」


「不自然やんけ」


「じゃあ、撮りますね〜、
はい、チーズ」


飼育員さんの声を合図にしたかのように、

急に、
亮が私の肩を抱いて、
自分の方に引き寄せた。

と、同時に、
カシャッと音がして、携帯が光った。


「じゃ、もう一枚！
笑って下さい！」


今度は、少しは上手く笑えたかな。


「ありがとうございます」


お礼を言って、携帯を受け取る。


たあ君も、


「ラーオンさんのしぇーしぇ。
あーと」


ライオンさんの先生、ありがとう。


って言って、ペコリとお辞儀した。


その様子を、亮がムービーで撮ってる。


「たあ君、次は象さんや」


「じょおさん。パオ」


「そう。パオーンや」


二人、しっかり手を繋いで、
童謡の象さんを歌いながら、
歩いてく。


昨夜、母と下の妹がうちに泊まりに来て。

初めて、たあ君に会った。


まだ大学生の妹の茉波は、
たあ君、可愛いって、めろめろになってたな。


母は、

私の生き方を尊重するって、言ってくれた。

父も同じ気持ちだって。


亮くんに甘えて、
出来たら、やり直して欲しいって、

そうも、言ってた・・・


あんまり自分を責めないで、

楽に生きて、って。


「頑張り屋さんのAは、
ずっと自慢の娘よ」


小さい頃から散々聞かされてきた、
母の口癖。

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