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長尾side
藤原「最後にAさんに会ったの、いつなん？」
長尾「………1ヶ月前」
高橋「振られたんもそん時？」
大西「あかんて…！言い方！」
高橋「も〜ええやん、実際振られたんやし」
さすがにもう何週間もウジウジしとる俺に、みんな痺れを切らし始めとる。
それにはなんとなく気付いてるし、俺だってずっとウジウジしてるんも嫌やし。
話を聞いてくれるんなら、それは嬉しい。
みんな、Aさんのこと知っとるし。
長尾「……振られたのはぁ、電話で」
大橋「電話でか〜、キツいなぁ」
長尾「電話は毎日しててん。で、二人で会った3日後に——」
道枝「えっ、毎日してたん？」
長尾「してた」
道枝「普通は…毎日するもん、なん？」
西畑「まぁ、する人はするんちゃう？」
道枝「でも俺らも忙しいし、Aさんも忙しいやろ、色々」
西畑「まぁ……それは、そうやな？」
長尾「………それがあかんかったんかな」
俺がそう言うと、楽屋が一瞬静まり返る。
なんか、泣きそうになってきた。
藤原「ま、まぁ！あかんことはないんちゃう！？電話ってほら、出たくなかったら出てへんやろ！」
大橋「そやそや！そやで謙杜！な？」
長尾「……そうかなぁ」
西畑「そう！絶対そう！！電話のせいやない！ほらほら、歯ぁ食いしばって一張羅着はってドーン！と構えて、な？」
長尾「…………じゃあ、なんで振られたんやろ」
俺の言葉に、また静まり返る楽屋。
俺やって、ほんまに何も理由が分からんくて、しょうみずっと泣きそうやねんで。
高橋「結局さ、謙杜はAさんになんて言われて振られたん？」
不意に、高橋くんがわりかし真剣な声色でそう言った。
みんなも、うんうんと頷いて俺の方に視線を向ける。
1ヶ月経った今だって、鮮明に思い出せる。
電話越しに聴こえた、Aさんの小さな声を。
長尾「—— “長尾くんのこと、好きになれなくてごめん。そのことずっと黙ってて、ごめん” って」
大西「えっ、それほんまに？」
長尾「そやで…？ ずっと俺ばっか好きやったんやなぁ、って思ったけど」
思ったけど、
でも、俺がAさんのことを諦められないのには理由があって。
——その声は、電話越しでも分かるぐらい、震えてた。
長尾「でもAさん、泣いてたと思う」
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年7月31日 22時
