初心な僕らは恋を知らない (ページ28)

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長尾side

こじけんは、「それが何？」って顔でニッコリ笑って俺の方を見た。

そのわざとらしい顔に若干イラッとして、こじけんの腕を掴む。

小島「えっ？なに俺、連行されちゃう感じ？」

長尾「いいから、ちょっと来て」

そのままずりずりとこじけんを引っ張って、廊下を逆戻りしていく。

「なんやなんや」とこじけんの笑う声が聞こえてきたけど、聞こえないフリをして、ずんずん突き進む。

エレベーターのあたりまで戻ってきたところで立ち止まると、こじけんは「なに？」と訊ねて、やっぱりニッコリ笑っていた。

長尾「こじけんと、Aさんは、知り合いなん？」

小島「知り合いっていうか、友達っていうか、幼なじみかな〜、小学校一緒やってん」

長尾「え、大阪やんな？」

小島「そう。A、小4まで大阪おったから」

長尾「…………知らんかってんけど」

小島「まぁ、別に言うことでもないしなぁ」

こじけんはそう言って、ぽりぽりと首を掻く。
別に、言うことやないかもしれんけど、俺はAさんの口から知りたかった。
出身地が一緒やったなんて、言うタイミングはなんぼでもあったはずやのに。

小島「え、何？ながちゃんてAとなんかあるん？」

長尾「……………ない」

小島「ないのにそんな反応せえへんやろ！」

長尾「……ないって！」

小島「嘘つけ〜、なに？付き合ってんの？」

長尾「つき……合ってない……」

小島「——じゃあ、付き合ってた？」