2-7 ページ13
_
長尾side
大西「……たぶん、たぶんやけど、Aさん…ブロックはしてへんと思うで？」
そう言って、流星くんは俺のスマホ画面を覗き込んだ。
1ヵ月前から何も変わらない画面を指先でなぞって、眉を顰める。
大西「なんか送ってみぃや？ きっと、返してくれるって。Aさん、無視とかする人やないやん」
長尾「そう……かなぁ」
大西「無視とかする人のこと、謙杜は好きになったん？ それとも、謙杜はAさんに無視されるのが嫌やから諦められるぐらいしか、Aさんのこと好きじゃないん？」
長尾「それは——」
流星くんの真剣な眼差しが、胸に刺さる。
そんなわけない。
Aさんは、俺の言葉を無視するような人じゃない。
……俺がAさんに連絡出来ひんのは、俺の気持ちが足りないから？
俺って、そんな弱いヤツやったんかな。
弱いヤツなんは、嫌やな。
そんでたぶん、Aさんかて弱いヤツは好きじゃない。
真剣な表情の流星くんの隣で、大吾くんは変わらず柔らかく微笑んでいた。
西畑「Aさんの本当の気持ちを知りたいんやったら、まずは謙杜がAさんのこと信じてあげなあかんのちゃう？」
長尾「そう………かも」
西畑「そうやで？ 謙杜が好きな人のこと、俺らも信じてるから、絶対大丈夫やって」
二人分の後押しで、なんだか背筋が伸びた気がした。
なんの進展もないトークルームに目を落として、テンキーに指を添える。
でも、その指先は思ったように動かない。
長尾「……なんて送ったらええかな」
大西「ふふっ、やっぱり謙杜は可愛いね」
長尾「………真面目に聞いてんの！」
西畑「謙杜がAさんに伝えたいこと伝えたらええねんで、大層なこと言わんでも」
長尾「俺が、Aさんに、伝えたいこと…」
西畑「そう。それを簡潔に、押し付けがましくなく、な？」
長尾「むずない？」
大西「むずいけど、頑張るんよ！」
流星くんがそう言うと、ちょっと離れたところで俺らの話を聞いてた高橋くんの「がんばれー」と気の抜けた応援が聞こえてきた。
長尾「………がんばるけどさぁ」
結局俺は、みんなに応援されながら(何度か添削もされながら)Aさんに、ほんの短いメッセージを送った。
そして、そのメッセージを送った数十秒後、
すぐに既読が付いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨野 | 作成日時：2022年7月31日 22時
