$5 ページ6
side:you
黒服「招待状を、」
…数日後。
私はまた、CLUB Hysteriaの扉の前にいた。
結局、あの日の目的は果たされた上にとてもじゃないがフロアに戻れる気力はなくそのままタクシーに身を預けた。
vip roomに入る事の出来る一回きりの'招待状'はもう使ってしまった。
…だが、あの日私はとんぼ帰りをしたわけではない。
クラッチバッグの中から100ドル札を出す。
黒服「お預かりします」
丁重に手袋まで付けて受け取られるそれ。
変哲のない紙幣に見えるが、黒服が何かを確認すると微笑まれる。
黒服「ジェシー様のお連れ様ですね。どうぞ」
先ほどと同じ姿形で返される紙幣。
そう、その100ドル札はSixTONESのメンバーそれぞれに特別なシリアル番号が振られており、誰の紹介か分かるようになっている。
そして、私が1度目に使ったのは本部がお得意様に発行していた'一度きり'有効なもの。
開店の際に郵送されるのだが、稀に招待状として利用されず紙幣として流通してしまう事がある。
社交界と交流などない私が、何年も掛けてそのシリアル番号を探し出したのも、すべては彼に会うため。
ひとつ深呼吸して中へ進む。
ジェシー「あ、田舎娘ちゃん」
北斗「田舎娘…？」
入り口のすぐ近くに、2人の男が立ち話をしていた。
ジェシーは私に気付くと手を振ってくる。
そして、その奥にいるのは先日も顔を合わせた松村北斗。
松村北斗、
日本の最も大きな銀行の跡取り息子。
才色兼備とはまさしく彼のためにある言葉だと思い知らされる程頭も良く外見も良い。
しかし性格に難があり、本当に心を許した相手以外には取り合わない事で有名だ。
ジェシー「また来てくれたんだねえ。気に入った？」
A「別に。せっかくご招待頂いたから来ないともったいないと思っただけ」
ジェシー「ha〜、つれないな。ドリンク、まだこれ口つけてないからあげるよ」
シャンパングラスを握らされ、逆の手を引かれて北斗の前に引っ張られる。
ジェシー「こないだ言ってた新顔の田舎娘ちゃん。ここに一人で来ちゃうくらいには変わり者だから、北斗と話が合うんじゃない？笑笑」
そう言うと、ニコニコしながら席を外したジェシー。
なんとも言えない空気が、私たちを包む。
一言も交わさない私たちを嘲笑うように、クラブミュージックは流れ続けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (
レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました！！見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七星のあ | 作成日時：2020年7月10日 8時
